Episode No.1023(20011205):芸術という魔笛

今日、12月5日は・・・天才音楽家モーツァルトの命日。

「フィガロの結婚」や「魔笛」などをはじめ
生涯に600曲を超える作品を生み出したが・・・
わずか35年という、あまりにも短い生涯だった。

モーツァルトの職業は、もちろん音楽家。
宮廷音楽家として何とか生計を立てていたが・・・
その名誉とは裏腹に、生涯貧乏暮らし
挙げ句の果てに、病弱な体がその生活に耐えきれず
若くしてこの世を去ることになる。

ただし、伝説の男であるが故、死因についてもさまざまな憶測がある。

死の直前に書いた「レクイエム」は死に神からの依頼だった・・・とか
ライバル、サリエリによる毒殺説などは映画にもなった有名な話。

実際のところは・・・単なる医療ミスだった、という説が有力。

最も医療ミスだ、と言うのは現代人から見て・・・の話で
モーツァルトが死んだ1791年当時は、それが当たり前の医療行為だった。

病気にかかったら、悪い血を抜く・・・それが当時の常識

献血でも抜くのは400cc程度だと言うのに・・・
この当時の「治療」では一度に10リットル以上もの血を抜いたらしい。
これでは、たとえ健康な人間でも病気になってしまう。

モーツァルトは幼い頃から、関節リウマチに悩まされていた。
そこへもってきて、ヒラメキ型の芸術家である彼は・・・
ひと度、創作に没頭すると平気で何日も根を詰めた徹夜をした。
これはリウマチ持ちにとって自殺行為。

そして最後は血を抜かれて・・・絶命。

もちろん、長生きすることだけが幸せではないだろうし
たとえ経済的には貧しくとも幸福感にあふれてる人だって沢山いる。

こうして命を削ってまで創り上げた作品のおかげで
私たちは心地よい曲を耳にすることができるわけだし・・・
そういった作品を遺せたモーツアルト自身は幸せだったかも知れない。

だけど・・・
もし、モーツァルトが宮廷音楽家としてさえ認められなかったら
いくら命をかけて作品を書いたとしても・・・誰も気がつかなかったろう。

自称○○・・・という容疑者の話が、よくニュースになっている。
たいていは・・・詐欺まがいのことをして捕まった人間だ。

自分が、いったい何者であるのかは
自分で決めているようで・・・
まわりに決めて・・・あるいは認めてもらっている場合の方が、はるかに多い。

わかるようで一番わからないのが・・・自分の力。

資本主義の世の中で、とりあえず自分の力を客観的に計るひとつの方法は・・・
銀行に融資の相談に行ってみることだ。


参考資料:「死に方科学読本」藤沢晴彦=著 徳間書店=刊 ほか