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Episode No.155(990224):常識は非常識

『常識』という言葉を辞書で引いてみた。

「健全な社会人が共通に持つ、ふつうの知識、また考え方。コモン センス」(三省堂国語辞典)と出ている。

つまり『常識』が『真実』であるとは、ひと言も書かれていない。

キーワードは「社会人」と「ふつう」という言葉だろう。
その人が暮らしている「社会」環境の中で「ふつう」ならば、それは『常識』である。

社会環境という言葉が世間一般を指しているかと言えば、これも大きな勘違いで、たいていはその人が接している、家庭内とか、会社内、学校内といったごく狭い範囲の中だけのこと。
範囲が比較的広い人でも、せいぜい業界といったところだろう。

ノアの箱船で描かれた世界中が大洪水になる話も、当時の「世界」観は決して地球全体を指すものではなく、ある特定の地域だけが「世界」と考えられていた時代の話。

ところで恐竜の絵が描かれたぬり絵があったら、あなたならどんな色を塗るだろうか?

これまで見た恐竜図鑑や『ジュラシックパーク』で見たリアルな気がする恐竜の姿を思い起こして、茶色や灰色のクレヨンを手にする人がほとんどで、まず赤や青といった明るい色を手にする人はいないだろう。

しかし、よく考えてみると、これまで発見されているのは恐竜の骨や、卵、フンの化石くらいで、誰も生きた恐竜を見た人はいないし、もちろん写真も残っていない。

実は恐竜図鑑に描かれている恐竜の色は、ワニから類推されたものだという。

確かにワニなら恐竜に近かったかもしれないが、陸上だけでなく水の中でも生活し、肉だけを食べるワニと違って、恐竜の中には陸上だけで生活するものもいれば草食もいた。
さらに鳥に近いものもいたとすると、その色はもっと多彩であったに違いない。

だが現在のところ、迷彩色や極彩色の恐竜は学問的には認められていないという。『常識』として。


参考資料:「モノの作り方がズバリ! わかる本」素朴な疑問探究会=編 KAWADE夢文庫=刊 ほか

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