Episode No.856(20010524):「個性」は言い訳?
今日、5月24日は・・・映画監督、鈴木清順の誕生日。
1923年生まれだから、今年78歳になるけど・・・まだまだ元気いっぱい。
実は、学生時代にいっしょに自主映画を作っていた仲間で・・・
その後、音響関係のエンジニア兼演出家になった友達がいるんだけど
今年の正月にうちに遊びに来て・・・
「今年は鈴木清順の新作を手伝うんだ」と胸をはっていた。
そこで、ちょっと調べてみたら・・・
今年1月にクランクインした新作の情報を見つけた。
『殺しの烙印/ピストルオペラ』
主演は江角マキコ、共演に山口小夜子という個性的な顔ぶれ。
タイトルかして、ちょっとアクションっぽいけど
撮影は・・・
かつて自身の手で数多くの人気アクション映画を作りだした日活撮影所で行われた。
一連の日活アクション映画で一世を風靡して鈴木清順は・・・
最初のアニメ版『ルバン三世』の監修をつとめたコトでも知られるアクション系監督。
ハリウッドで活躍するアクション系監督の
クエンティン・タランティーノやジョン・ウーも清順ファンだとか。
元NHKアナウンサー、鈴木健二の実の兄・・・というのも有名な話だけど
見るからに対照的な兄弟、だよね。
スリムで活動派の兄と・・・
運動が苦手で勉強ばかりしていた弟・・・
まるで『こち亀』の両津勘吉と、弁護士をしている弟、金次郎のようだ。
一時期は・・・
『ツィゴイネルワイゼン』、『陽炎座』といった芸術色いっぱいの作品を立て続けら発表し
マニアには喜ばれ、一般の人には難解がられたけど・・・
監督自身のポリシーは・・・あくまでも
「新人や若い人は、わかりやすいものを作れなければダメだ」というコトらしい。
ピカソの絵画を見ていても思うけど・・・
初期の作品や気まぐれに描いた闘牛士の絵などは、ものすごいデッサン力を感じさせる。
つまり・・・
デッサン力もないクセに、個性を言い訳に人にわからないモノを作っても・・・
誰も認めてくれない・・・ってコトなんだろう。
伝えたいモノをまず正確に伝える腕がなければ・・・その先はない。
久々の清順作品・・・楽しみだ。