Episode No.842(20010508):正しければ理解される
「人は本当に悪くなると
他人を傷つけることに喜びを見に出す」
・・・と言ったのは、ゲーテだったか誰だったか・・・
逆に相当悪い根性の持ち主でない限り
まったく利害関係もないような他人が傷ついているのを平気で見過ごすコトもできないだろう。
例えば、迷子がいれば気になるし・・・
腰の曲がった年寄りが階段をのぼっていれば心配にもなる。
しかし、そこで素直にパッと手が出せない・・・というのも正直なところ。
目の前に倒れるひん死の兵士たちを
敵味方に関係なく救助し、その組織を作った男。
今日、5月8日はその男、アンリ・デュナンの誕生日にちなんで
彼が作った組織「世界赤十字」デー・・・とされている。
デュナンが生まれたのは、今から173年前の1828年。
昨日、紹介したベートーヴェンが『第九』を初演した4年後のことになる。
1858年のイタリア統一戦争の頃から本格的な救助活動を開始。
1863年、35歳の時に「国際赤十字社」を組織し、
1901年にはノーベル平和賞を受賞している。
ちなみに「赤十字」のマークは・・・
デュナンの祖国、スイスの国旗の赤と白を逆にしたところから作られたそうだ。
そういえば、幕末維新の頃・・・
幕府軍の一部が、日本初の太平洋横断を成し遂げた咸臨丸に乗って
当時徳川家の移封先であった清水へと逃れた。
それを知った新政府軍は、直ちに追っ手を差し向けて咸臨丸を襲撃。
乗組員は殺され、遺体は船から次々と海へ投げ捨てられた。
しかし、新政府軍にとがめられることを恐れて誰ひとり遺体を引き揚げようとしない。
それを見かねて身内の者に遺体を引き揚げ、手厚く葬るコトを命じたのが・・・
かの清水次郎長だ。
「ホトケに政府軍も幕府軍もあるモンかい」
この次郎長の心意気に打たれた山岡鉄舟らは以後、次郎長と親交を持つようになった。
現在も清水港には、この時、次郎長が建てた「壮士の墓」が残っている。
自分の考えを素直に主張し行動できるか?
その考えが正しければ・・・必ず理解者はあらわれるハズだ。