Episode No.682(20001102):自分をつかめ!
スタジオ・ミュージジャン・・・っていう職業、知ってる?
レコーディングの時にかり出されたりする、いわば"演奏職人"。
その腕は確かで、当日、譜面を渡されれば、たいていパッと弾けちゃう。
ちなみに現在のレコーディングは、パートごとに録音していき、最後に歌を入れるのが普通。
だから演奏している本人たちも、どんな仕上がりになるのかは完成するまでわからない。
中には人間が演奏していないパートもあるし・・・
ブラス系の音だって、実はキーボードから入力されているコトだって少なくない。
ちなみに録音スタジオに大勢のオーケストラを入れて歌うのは・・・
「こんばんは、○ 進一です」クラスのごく限られた人だけだとか。
スタジオ・ミュージジャンは、まかされたパートを実に慣れた感じでこなす。
ライヴの助っ人を頼まれてステージに立つコトもある。
しかし・・・たいていのスタジオ・ミュージジャンは助っ人のみで自分の曲を演奏する機会はない。
中には小さなライヴハウスとかで自分のパンドを組んで活動を続けている人もいるだろうけど・・・
私が昔、何度か仕事で会ったスタジオ・ミュージジャンは、音楽教室の先生をやっていた。
エレキ・ギターの先生だったんだけど・・・
生徒の目の前で、まず流行の曲をCDに合わせて弾いてみせる。
当然のとこながら・・・上手い!
ミージシャンのクセまで真似て弾くことだって朝飯前。
そこで、生徒はみんな「あんな風に弾けたらなぁ」と思い・・・授業が始まるという寸法。
このところ忙しさにかまけて、自分が今抱えている「書く」ことについての話ばっかりしているけれど・・・
そんな中で、どうしてこのスタジオ・ミュージジャンの話を思い出したかというと・・・
上手くやる"腕"と自分が"表現したいモノ"は両方なきゃならないけれど・・・まず後者が先かな
と、ふと・・・あらためて思いだしたからだ。
確かに"腕"がなければプロにはなれない。
でも"腕"だけあっても"表現したいモノ"がなければ・・・
そして、それが受け入れられなければ世の中には出られないんじゃないかな?!
"職人"という言葉は決して悪い言葉じゃないし、私は好きだ。
でも、世の中の人が見たがっているのは"アイデンティティ"というような気もする。
もちろん"職人"には"職人"の"アイデンティティ"は必要だけど・・・
どっちかって言うと・・・
"職人"は"アイデンティティ"より、仕事としての"割り切り"がないとやっていけない感じ。
ちなみに先日、紹介した新人アーチスト「うたいびと はね」は、素人の私が言うのも何だけど・・・
私が知ってるスタジオ・ミュージジャンと比べたら、はるかに腕は下だと思う・・・今のところはね。
"腕"は訓練次第・・・"アイデンティティ"は、生きる姿勢の問題・・・かな。
どんな職業でも、ね。