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Episode No.179(990324):不器用が最強の武器

仕事と名のつくモノは何でも大変だ。

サラリーマンも決して気楽な稼業ではなくなってしまったし、大きな組織の一員ともなると、他人の失敗のために頭を下げなければならない・・・という機会も多い。

他人のために頭を下げる仕事なんて、真っ平ゴメン・・・という人は、組織の経営側にのぼりつめるか、組織を離れて生きていくしか道はない。

スポーツの世界では、つねに本人の実力と勝敗を決める。
勝負と時の運とは言うものの、運も実力のうち。
たとえチームプレイが基本にあるスポーツでも、プロとなれば一軍に名を連ねていられるかどうかは、やはり本人次第である。

1947年、静岡に生まれた星野一義は、モトクロスチャンピオンを経て、四輪に転身。
以後、98年に現役を引退するまで、FJ1300、F2000等でチャンピオンに輝き、モータースポーツの世界では"日本一速い男"と異名をとった。

トップを走り続けていた男は「星野一義という名前は要らない」と何度も思ったという。
この名前で走る限り、絶対に負けは許されないからだ。

「逃げ出したかった。月に25万もらって毎日5時に帰るサラリーマンの生活にも憧れたよ。でも、不器用だからね。器用だったら、もっと楽な方に逃げられたかもしれない」

現役時代を振り返って彼は、こう言う。
だが、彼の不器用さは結果として、最強の武器になっていた。

確かにプロ・スポーツの世界は大変だけど、何もスポーツプレイヤーでなくても、組織に属さず気楽に生きていく道はあるサ・・・と考えれば確かにそうかもしれない。

しかし、どんな場所で生きていくにしても、人生のプレイヤーとして戦わなければならないことに変わりはない。


参考資料:「山崎浩子のアスリート進化論」週刊文春3/4号

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