思春期を考える(6)
第四思春期に備えて
One week to think about puberty.
少なくとも人生には
3回の“思春期”がある…ことを発見した。
…と、いう話を今週はしてきた。
10代にはじまり、30代、50代…と、
およそ20年に一度訪れる思春期の正体は、
心と身体や環境といった
ソフトとハードが著しくバランスを崩し、
本来最も大切なものを傷つけてしまうほど
本末転倒な状態に陥り、
PCで言うなら根本的なバージョンアップ
…を必要とする時期のことである。
あるいは、周期的に引き起こされる
大地震のようなもの…と考えていいかもしれない。
つまりは…避けることはできない。
避けられは、しないものの、
それがいつ頃起こりえる…ということを
事前に知っていれば、
決して慌てることなく、
賢明に対処することはできるだろう。
そうは言っても当の本人は、
自ら揺れている方だから、
なかなか冷静になることは難しいかもしれないが、
少なくとも周囲がそのことを理解していれば、
対応も変わってくるだろう。
いずれ天気を変えることはできないのに
天気予報を見てから出かければ安心なのと同じことだ。
さて、三回の思春期の存在について気づいてのは、
自分が三回の思春期を迎えているからであるが、
そうなると、
はてして四回目があるのかどうかが気になってくる。
今週の日々更新を見て、 いち早くそのことに気づいた
勘のいい同年代の友人からも、
次の思春期についてメッセージがあった。
70代を越えてやってくる思春期があるとすれば、
それは心と何の急激なズレによって
引き起こされるのだろうか…?
10代は、急激に発育した身体と未熟な心。
30代は、社会的な立場と自分の理想。
50代は、衰えていく身体と若いつもりでいる心。
10代、50代が心と身体のギャップであるのに対し、
間にある30代は、心と環境のズレが引き金となる。
ならば次の70代もおそらく心と環境が
問題になってくるのではないか…?
もちろん、身体的な衰えも
急速に進んでいることではあろうが、
50代前後で完全な老眼に陥るような
急激な変化に比べれば、すでに緩やかで、
精神的にもいわば慣れっこ
…になっているような感じはする。
70代くらいになって激変する環境の変化は
…おそらく身近な先輩や同世代の、
苦楽を共にしてきた仲間たちの“死”だろう。
自分が住んでいる世界の
根本を作っているのは、
自然環境でも、整備された都市空間でもなく、
普段、顔を合わせて共に暮らしている“人”である。
家族構成が変わるほど
大きな環境変化はないし、
仕事場を作っているのも設備ではなく、
そこで共に働く人なのだ。
その自分にとっての世界を構築していた
“人”が消えてゆくという大きな変化が、
70代にもなってくると確実に訪れるだろう。
ゲーテいわく…
「死は奇妙なものだ。
いくら経験しても、
自分の親しい者には
起こらないように思っている。
死は信じられないときに、
思いがけなく起こる。
不可解なことが、
突然現実になるのが死だ」
それでも…対処方法は10代から同じ。
何か熱中するものを見つけて、
つねに新しい世界を構築していこうとすること。
…だな。
せっかくPCをバージョンアップさせても、
やってることが、それまでと変わらないのであれば
…ほとんど意味を成さない。
同じことが続けてできなくなったことを
嘆くのではなく…
できなくなった代わりに何か、
新しいことを見つけていけばいい。
再びゲーテいわく…
「歳をとるということ自体、
新しい仕事をはじめることだ」
だから…人生、日々更新。
【このシリーズ 了】
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01思春期とは何か
02第一思春期について
03思春期は20年周期でやって来る
04第二思春期について
05第三思春期について
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