思春期を考える(4)
第二思春期について
One week to think about puberty.
少なくとも人生には
3回の“思春期”がある…ことを発見した。
…こと、男には。
前回は思春期がやって来る周期の話に終始してしまったが、
今回は、まず30代前半から30代半ばくらいに
第二思春期が起こる要因について話を進めることにしよう。
誰でも知る10代の思春期が、
急激に発達する身体と
未熟な心のバランスが崩れることによって
起こるのに対し…
30代前半から
30代半ばくらいにやってくる第二思春期は、
社会人となって10年あまりが経過し、
仕事の内容や、あるいは世間というものが、
たいぶわかってきた…と考える自分の思いと、
まだまだ会社や世間からは
力を認めてもらうことができず、
責務も負っていないというギャップから生じる。
3回の“思春期”について、
再三にわたり「こと、男には」と書いたのは、
仕事との関わりつにいてのこうした傾向が、
男性に顕著だからだが、
仕事を続ける女性が増えている現代においては、
男女に関係なく表れてくる傾向かもしれない。
どんな仕事に就いていても、
10年くらいやっていると自分の意見が出てくる。
それは決して悪いことではないのだが、
責務を負わされていない者の意見は
所詮、外野の意見に過ぎない。
そこで自分の意見が認めらてもらえないと、
上司や会社はわかっていない…などと愚痴り出す。
実は、そうした外的要因のほかに、
30代に入ったことで、
20代までの特別な努力なしでも持ち得ていた体力が
減退しはじめてることが、
バランスを崩す充分な要因にもなっている。
しかし、他の思春期とは異なり、
そうした内的要因よりむしろ、
環境や立場といった外的要因が引き金になるのが特長。
自給自足をしていれば起こりえないとも考えられるから、
最も近代的な思春期といえるかもしれない。
体力は減退傾向にシフトする一方、
仕事では矢面に立つことが増えてきつくなる。
しかも、自分の意見は通らない。
そうした状況の中、誰もが一度は
続けてきた仕事を
真剣にやめようと思うほどバランスを崩す。
ある者は、
得意先との約束を反故にしてしまったり…。
また、ある者は、
突然、会社に来なくなったり…。
10代の思春期が、
親に対する八つ当たりを起こしたように、
自分を支えてくれる大切なものを傷つける。
そうした常識的には理解不能な自己中状態
…それが思春期だ。
ハタチで大人になったつもりでいても、
それは年齢だけのこと。
まだまだ子供でも世間は見逃してくれる。
ところが30になって
大人らしいことができないでいれば、
それはもう標準以下と見下されてしまうだろう。
さて、
10代の思春期を是正したのは、
自分以外の者を思う“恋”だったが、
この30代前半から30代半ばくらいに
起こる第二思春期を是正するのは、
言うまでもなく…“結婚”である。
たいていの男は、ここで、
片意地を張った自分の意見より、
これから築き、
自分が支えていかなければならない
家庭を考えるようになる。
自己中状態からの離脱だ。
また、振り返れば、そもそも…
仕事における自分の意見自体、
仕事を思うように運ぶことができない
自分を正当化するための
言い訳に過ぎなかったりするしね。
この第二思春期で
“結婚”しなかった場合には、
“転職”ということもあり得る。
いずれにせよ、
私生活か仕事、
いずれかの環境を大きく変えることで
新しいバランスを保つようになり
…とりえず、落ち着きを取り戻す。
同じことをずっと続けているつもりでいても、
自分が年をとり、変化を続けている以上、
生活のバランスは次第に狂っていくもの。
20年サイクルで思春期が訪れることを考えると…
何か新しい環境に入った時、
最初の10年は必死だから気づかない。
次の10年は、何となく騙し騙し続けていて、
ついに20年目に差し掛かると、
大規模なメンテナンスが必要になってくる。
…そこが思春期。
人も家屋も同じだね。
メンテナンスで、何処を直し、
あるいは必要に応じて増築していけるか…。
ただし、家と違うのは…
建て替えや住み替えがきかないことだ。
【つづきは、こちら】
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01思春期とは何か
02第一思春期について
03思春期は20年周期でやって来る
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