Episode No.3748(20100828)
実録トラブル体験談
巨大組織との仁義なき戦い-digitake.com 公に知られた大きな組織は極めて常識的で紳士的、付き合っていて安心感がある…なんて思い込んでいたら大間違い!

組織が大きくなればなるほど個人の責任感は希薄となり、そこには社会の常識を逸脱した独善的な常識が存在する。しかし、それを作り出しているのも、そこにいる個々の人間たちなのだ。


06 子供に胸の張れる仕事

さて今週は、息子が自転車を盗まれたという事件をきつかけに、私が実際に体験した訴訟事件について、いろいろ思い起こしてみた。

30年前の夏のことと同様に、いつかは整理しておきたいと思っていた内容だ。

確かにうちの会社は、C社の仕事を切られて以来、売上はガタ落ちとなって自転車操業が続いているが、まだどうにか操業している。さらに当時のスタッフとも一緒に働く機会もある。

だから別に、いつまでも恨み節を言うつもりもないし、C社を誹謗中傷する意図もない。個人的には、もちろん大嫌いだからC社の商品は一切買わなくなったけど、ね(笑)。

今C社がいったいどんな活動をしているのか詳しいことは知らないし、その会社に現在勤めている人との交流もない。

うちがC社の仕事をしていたことを知るC社の社員の多くは、いったい何があってうちが出入りしなくなったのか。あるいは辞めていった社員が辞表を出した、その本当の理由は知らないだろうし、当然、会社からは知らされていないだろう。…だって、今もいる上層部の大恥だからなぁ。

サラリーマンの悲しいところだなぁ…。

悲しいというのは、組織に属さなければ生きていけないという境遇が悲しかったり、本当のことを知らせてもらえないのが悲しいのではなく、そうした大組織の慣習を体裁のいい言い訳に、できるだけ自分は楽に過ごそうとする個人の生き様が悲しかったり、淋しかったりするんだ。人間として、ね。

大企業にも、いや大企業だからこそ優れた人は大勢いるし、だから大企業として成り立っているんだと思う。ただ、寄らば大樹の陰という人も大勢いるのは事実だろう。

C社の社員たちに限らず、いろんな場面で出会ういわゆるサラリーマンを見ていて感じるのは、前にも書いた通り…その自分の姿を自分の子供に胸を張って見せられるのだろうか?ということ。

もちろん、私だって完璧じゃない。むしろ穴だらけで借金だらけ。だけど自分が流されていたんじゃ「自分の力で頑張れ」なんて子供に言えないだろう?

たとえアダルトビデオを作る仕事でも、誰かを喜ばせてお金を得ているという点において尊い仕事といえる。逆にいかに世間体はよくても自分が楽をするため、あるいは自分が傷つかないことを第一に誰かの犠牲の上になりたっているような仕事の仕方をしてたなら、いつかはしっぺ返しが来る。C社の親会社の元社長のようにね。

タイムカードをガチャンと押して人格を変えることができる人たちは本当に起用だと思う。

会社や組織に束縛されない時間に夢を追うのもいい。それで満足できる夢ならば。
けれど、それが自分を誤魔化す行為であれば、やがて歪みが出てくる時が来るんじゃないか。

また、もっと恐ろしいのは…その歪みに合わせて自分をゆがめてしまうことだ。大昔、中国で女性の足を大きくしないために纏足(てんそく)をはめたようにね。成長を止めない限り、現状に満足するなんてことは自然の摂理としてあり得ないことだと思う。

さらに自分を捨ててかかるという覚悟の意味を都合のいいように取り違えて、長いものには巻かれろ的な安易な道を歩んではいけない。

自分をゆがめておいて、自分の夢なんて追えるはずがないじゃないか。

…夢だけじゃ生きていけない?

てやんでぃ!
そんなこと、サラリーマン以上に痛感してるよ(-。-;)

【この項目…おわり】

【追記】

今回のシリーズを読んでくれた建築関係の仕事をする友人から、掲示板に以下のような意見をもらった。

著作権とか商標登録とか特許とか・・・。

労力と能力とかけて作り上げた物は作った人にその権利があるってのは当たり前といえば当たり前。
それこそ音楽なんかCDをお金を出して買ったんだからって勝手にコピーして売ったりしたら犯罪ってよくわかるよね。

簡単にコピーできちゃう物は特にそうだよね。

でも、内装デザインはそうでもない
コピーし放題だしそれも超えて流行りとまで言われてしまう。
きっと誰かが一生懸命デザインした物なのに、まねされちゃうんだよね。

そりゃ名の通ったデザイナーとか建築家は別格だけどね。

この意見についての返信した文章に加筆修正を加えて、以下の通り追記する。

確かに難しい問題ではある。

ひとつには「露出度」の問題がある。
建築デザインも個人宅と不特定多数が入る店舗とでは違うと思う。
セブンイレブンやマツモトキヨシそっくりな店を作ったら…やっぱり訴えられるだろう?

あと、名が通っているかいないか?…これも判断は難しい。
ただ、基本的には有名か無名かの違いは周囲への影響力の違いであって権利は同じはず。

また、自主的に作ったものと、依頼されて作ったものの権利関係は難しい。

しかし、仮にクライアントから店舗の設計やカタログのデザインを「あそことまったく同じにしてくれ」と依頼されたら…「少しは変えましょうよ」と助言するものでしょ?! 常識的な感覚を持って仕事をしていれば。まったく自主性のないものを作ったら、訴えられないまでもクライアントが恥ずかしい思いをする…と思うからね。

今回紹介しているケースでは、権利の失われた印刷物のデッドコピーを頼む方も頼む方だけど、それを「はい、わかりました」と受ける印刷屋も印刷屋。

この場合、クライアントが自分のところの元社長だったから断り切れなかったこととは思うけれど、これはパワーハラスメントだし、受け手のサラリーマンの悲しさ、情けなさを強く感じる。

サラリーマンも外注業者も、上司、客先の頼みを断るのは難しいけれど…奴隷になっちゃダメだろ? あくまでビジネスなんだから。

自分の時間や能力は売っても、魂を売ってしまったら、何のために生きてるのかわからなくなっちゃうでしょ?!

大企業だから紳士的だということは決してないし、むしろ非常識な手を使い、他人の犠牲の上にのし上がってきた人や企業も少なくないと考えた方がいいかもしれない。

原付が信号無視をして事故に遭うと、怪我をするのは原付を運転していた人。
でも、大型トレーラーが信号無視をしたら、まわりに大きな被害をもたらしてしまう。トレーラーの運転手は案外無傷だったりするものだけど、ね。

自分が安全運転をしているだけじゃあ事故は防げないし、万が一、事故に遭ってしまったら、泣いたり騒いだり、愚痴を言うだけでなく、キッチリと対応できないと…泣き寝入りになっゃうよな、やっぱり。




【この項目のバックナンバー】
 05 裁判長は誰の味方?
 04 著作権を守れ
 03 大企業の横暴
 02 欲に打ち砕かれた理想
 01 正しいだけでは勝てない

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