Episode No.3746(20100826)
実録トラブル体験談
巨大組織との仁義なき戦い-digitake.com 公に知られた大きな組織は極めて常識的で紳士的、付き合っていて安心感がある…なんて思い込んでいたら大間違い!

組織が大きくなればなるほど個人の責任感は希薄となり、そこには社会の常識を逸脱した独善的な常識が存在する。しかし、それを作り出しているのも、そこにいる個々の人間たちなのだ。


04 著作権を守れ

著作権…よく聞く言葉だ。

ネットを覗いてみれば、およそ無視されているのがこの著作権。
twitterのアイコンなんて、まさに無法地帯といっていい。

何故そのようなことが横行し、かつ許されているのか?

決して許されているわけではないだろうけれど、著作物を複製したことによって得たPR効果など明確な利益がなければ、訴え出たところで何もとれない。だから、よほどマイナスのイメージにでもならない限りは、いちいち訴えるようなことはしない…というところだろう。

さて、ここで問題。
制作会社が依頼された作ったカタログのデザインや撮影した写真の著作権は誰のものか?

答え…買取条件などの明確な取り決めがない限り、デザインはデザイナーに著作権があり、撮影した写真は、それがたとえ製品写真であってもカメラマンに著作権がある、というのが法律の定めるところ…だと顧問弁護士に確かめた。つまり、依頼者に与えられているのは通常は使用権だけなのだ。

ただし、モデルの肖像権については移行できないものなので著作権とは異なり、事前に買取条件があったとしても、使用者には常に使用権しかない。それ故、フリーの素材集などを別にしてモデルの写真には使用期間を定めるのが普通だ。

金を出して依頼しているのに自由に使えないなんておかしい…と考えるクライアントも少なくないだろう。私自身、依頼する側でもあるので、そうした意見を理解できなくもない。

だが、仮に仕上がりは優れているが制作費が安くはない印刷物を頼んでカタログを作り、その後、データだけ引き上げて、次からは安さだけが売りの印刷屋に何の断りもなく頼んでいたとしたら、再び優れた制作をしてくれるところに仕事を依頼し、気持ち良く受けてもらえるだろうか? しかも「引き続いてお願いするから安くして」と頼んでおいて、ね。こんなのは交渉とはいえない。悪く言えばだまし討ち。彼氏にもらったプレゼントをそのまま質入れするよりタチが悪いよ。

要は著作権うんぬんの前に商道徳があり、人間関係の問題が大前提にあるのだ。法律はそれを補っているに過ぎないと思う。

大企業の横暴によって業務委託契約を一方的に破られたのは苦い経験であったが、それもある意味、下請けの身としては致し方のないことではある。

必要がなくなったら、それまでの貢献度などは関係なく真っ先に切られる…それが下請けの運命だ。

しかし、こちらにも生活があるので単なる泣き寝入りとはいかない。ましてや相手が非合法なやり方で約束を破棄するようなことをすれば黙っているわけにはいかない。第一、そこで泣き寝入りをしてしまっては、それまで昼夜を問わず頑張ってくれていた社内外のスタッフに合わせる顔がない。

そこで、弁護士と相談の上、賠償金を取り、良好な関係が続いていたなら、まずわざわざ主張する必要などない著作権についても明確にすることを条件に、一旦は手打ちとした。

それから数ヶ月の後…。

問題のC社が展示会に出るという情報を得たので、念のためC社に顔の割れていないスタッフに覗いてきてもらうことにした。
すると、平然とうちで作ったカタログのデッドコピーを作って配布しているではないか。この段階では、すでに著作権論議ではなく、弁護士を立ててまで行った約束の明確な違反である。

私は再び顧問弁護士に連絡をとった。舌の根も乾かぬうちのこの仕打ちに顧問弁護士も提訴を勧めた。そして、生まれて初めて東京地方裁判所の門をくぐることになる。

実は弁護士同士というものは、たとえ敵味方であっても弁護士という立場をわかりあっているものなので、提訴の前には弁護士同士の話し合いもあった。

相手の弁護士にデッドコピーの証拠を突きつけると、さすがに先方の弁護士もあきれ果て、ようするに面倒がみきれないので裁判所に白黒つけてもらった方がいい…ということになったようだ。

最も、そうやって問題を大きくしてしまった方が、より多くの弁護料をとれると踏んだのかもしれないけど、ね。

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