彼の身長は182cmくらいあったというから、
江戸時代後期の日本人としてはかなりの長身。
…松田優作の身長とちょうど同じくらいだね。
彼もまた、恵まれぬ子供時代を過ごした。
元は地主の子だったが…
人のいい父が、
飢饉に苦しむ人たちに施しをし過ぎたうえ、
さらなる飢饉で自分の田畑を失って
…とうとうすべての財産と命まで失ってしまう。
14歳で父を、
16歳で母を失った彼は、
離ればなれに引き取られて行った
兄弟との再会を夢みて懸命に働いた。
その甲斐あって20歳の時には、みごと生家を再興。
その後、大名に請われて
借金だらけの大名家を数年で立て直し、
その手腕は大名の上の藩主にも買われ、
荒れ果てて手の着けようがなかった
領地の再興まで手がけた。
彼の人生は、まさに再興のために捧げられた。
唯一、再興できなかったのが先妻との仲。
あまりに仕事熱心過ぎて、
先妻はついて行けぬと出て行ってしまった。
最も次の女房は、
彼に付いて荒れ地に居を移したというから、
理解の問題…
あるいは信じる力の問題かもしれないが…。
彼が居を移してまで再興にあたった土地は、
後に彼の名がつけられた。
栃木県二宮町(現・真岡市)。
長身、バツイチ、そして勤勉だった男の名は
…二宮金次郎である。

参考文献「世界の伝記・二宮金次郎
」笠原一男=監修/集英社=刊