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Episode No.258(990624):信じる力

信じる・・・って、ひとつの才能だと思うんだよね、私は。

結果的に信じた通りには行かずに裏切られてガッカリすることや、信じていること自体が自己催眠のようなモノで、まったくの錯覚であるコトも少なくないけれど・・・。

信じることによって何かを成し得れば「行動」は目に見える現実だからね。
現実を動かすことにこそ意味がある・・・と思う。

昔、映画監督の大林宣彦を囲む座談会に出席したことがある。
学生時代の話だ。

自主制作映画監督からCMディレクターになり、百恵・友和の「泥だらけの純情」と同時上映された「HOUSE」で映画監督としてデビュー。
その後は、今で言うSFXを駆使した画面づくりで"映像の魔術師"と呼ばれ、薬師丸ひろ子の「ねらわれた学園」や原田知世の「時をかける少女」などの話題作をはじめ、数多くの作品を手がけている。

個人的には、男の子と女の子が入れ替わってしまうセンチメンタル・ドラマ「転校生」が好きだ。

大林作品は、どれも嫌いじゃないんだけれど「来る仕事は拒まず」という感じで、どんな企画でも依頼があれば請け負う・・・という感じがしないではなかった。
それ故「ちょっとなあ」と思える作品も正直言って、中にはある。
もちろん、ファンとしての勝手な思いで、実際のところは知らないけれど。

で、その点について座談会の時に直接本人に尋ねてみた。
「監督は新しい企画を請け負う時に、何を信じて仕事をするんですか?」って。
監督も私が言わんとしている言葉の意味は汲み取ってくれたようで、こういう答えが返ってきた。

「どんな企画でもね。何か発見がある・・・ということを信じているんです。それを見出すことが大切だし、実際にやってみて、はじめてわかることが多いんです」

監督にとって映画を作ることは仕事だ。
仕事は、こなさない限り、次の仕事を請け負うことはできない。

中には確かにつまらない仕事もあるかもしれないけれど、つまらない仕事でもやってみると、それなりの意味はある・・・ということに、学生時代には気が付かなかった。

生きるということは、行動し続けること。
中途半端に賢い人間は、思考力が邪魔して行動がおろそかになりがちだが、どんなに考えたって、やってみたこと以上の答えが出せるはずはない。
行動を支える力こそが「信じる」ことであって、行動をともなわない思いは裏切られて当然・・・とも言える。
燃料があっても走らなければ、意味はないでしょ?

しかし、嬉しいことに、この「信じる」というエネルギーは、走れば走るほど満たされてくるモノ・・・なんだ。


参考資料:経験上・・・!

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