Episode No.2871(20071102)
光と影の関係

昨日紹介したエピソード
「劇画・内閣総理大臣伝(原田久仁信=画 よつや文=作 実業之日本社=刊)
というコンビニで買ったいわゆる廉価版コミックス
・・・に載っていた話。

廉価版コミックスは・・・
コンビニコミックや
ペーパーバックタイプコミックスとも呼ばれ、
一般のコミックスと比べると簡易な製本で、
その分安くて手軽に買えるのが特長だ。

過去に刊行されたコミックスを
装丁を変えて、雑誌扱いで安く出すことにより、
繰り返しの利益を得られると同時に、
出版社にとっては古本屋対策にもなっている。

いわばコミックスの影のような存在だが
中味は変わらないので、読めればいーや
・・・という人も少なくないだろう。

さて、この「内閣総理大臣伝」には、
伊藤博文からはじまって大平正芳まで
17人の首相の知られざるエピソードが
非常によく似た劇画で描かれている。

続けて読んでいると面白いのは、
例えば・・・浜口雄幸の巻では、
敵役として登場する犬養毅だが、
当然、犬養毅の巻では
このうえない悲劇の総裁として描かれている。

鳩山一郎の巻では、
吉田茂はとても嫌な男に見える。

ようするに光のあて方で
影の向く方向が、まったく違うということだ、ね。

吉良上野介だって
地元では名士で通っているというし・・・。

最も、この本の中で2人だけ・・・
まるっきり心底悪人のように描かれている人物がいる。
・・・東条英機と岸信介だ。

それでも、この2人が
実際に国を率いていた時代があった。

不自然に強く光のあたったものの輪郭
・・・見えづらいものだ。