Episode No.2713(20070502)
街の灯

昨日おとといと映画の話が続いたので
連休谷間の今日も
私の好きな映画の話をしようと思う。

淀川さんは晩年になって、
自分の観た映画の中でのベスト1を・・・
チャップリンの「黄金狂時代」だと言っていた。

私のベスト1も、やっぱりチャップリン
街の灯」ほど感動した映画はない。

今さら語り尽くされた話ではあるけれども・・・
「街の灯」には
普遍的な人間の滑稽さ、弱さ、強さ、
そして夢と現実の残酷さと救いが詰まっている。

物語は放浪紳士のチャーリー
盲目の花売り娘が出逢うところからはじまる。

花売り娘は浮浪者を大金持ちと勘違いし・・・
勘違いされた浮浪者は、
その期待に応えようと奔走する。

愛は・・・勘違いなのかもしれない。
そして、すべてのドラマも
・・・勘違いからはじまる。

中途半端な勘違いは、
人を堕落させ、無駄に年をとらせるが、
美しい勘違いは、
人を強くし、未知なるパワーを引き出す。

その違いは、
勘違いをしているうちは気づかないけれど、
現実を突きつけられた時に
・・・ハッキリとわかってくる。

盲目の花売り娘は
浮浪者のおかげで手術を受け、
目が見えるようになる。

そこへ落ちぶれた浮浪者が再び現れ
伝説の名ラストシーンへと・・・。

このラストは実に映画的だと思う。

この映画を観た者だけにわかる
言葉では説明のつかない共通体験を与えてくれる。

しかも名画から得た体験は・・・
日々の生活の中に
・・・一筋の光をはなってくれる。

チャップリンは、もちろん知っているけれど、
まだまともに作品を観たことのない人。

この連休中の、ほんの1時間半でいいから
「街の灯」にふれてみては?

そこには本物の笑いと涙がある。