Episode No.1164(20020518):人生を象徴する出来事

正しいはずなのに勝てない人もあれば・・・
本当はたいしたことはないのかも知れないのに
歴史に名を刻んで、後に偉人と言われた人も大勢いる。

明日、5月19日は無敗の剣豪、宮本武蔵の命日。

武蔵が死んだのは・・・
今から357年前の正保2=1645年のこと。
享年62歳。

吉川英治の小説や数々の映画によって
ストイックなイメージが強い武蔵だが・・・

54歳の頃、
黒田家の家臣として島原の乱に参加した時には
吉原の遊郭から馬に乗って出陣。
陣羽織の裏地は、馴染みの遊女の小袖が縫いつけてあった
・・・という話もある。

漫画「バカボンド」では、どう描かれているのか
読んでなんからよくわからないけれど
原作は吉川英治となっているよね。

宮本武蔵にしても、坂本竜馬にしても・・・
あるいは清水次郎長伊藤博文も・・・
歴史上の偉人というのは、
やっぱり「こうあって、ほしい」という庶民のイメージによって
人物像が作り上げられている場合が多いと思う。

もちろん、何かしら大きな功績があったからこそ
注目されたには違いないんだろうけれど・・・
武蔵個人の人生でいえば、単なるエピソードのひとつにすぎない
巌流島の決闘を・・・
巌流島の決闘に行き着くまでの人生として描こうとすれば
見方も相当変わってくるんじゃないかな。

本人にとっては・・・
本当は単なる気まぐれだったかも知れない出来事を
すべての人生がそこに集約されたみたいに捉えたら、ね。

そういう意味では・・・
長い人生を象徴するエピソードを遺せた人が
偉人なのかも知れないなぁ。

たいていは、間に合わせのまま何となく生きて
叶わなかった夢を子供や後輩に託すのが
関の山・・・だもんな。


参考資料:「歴史の意外なネタ366日」中江克己=著 PHP文庫=刊