Episode No.952(20010913):アメリカの悲劇

2001年9月11日の夜は、テレビニュースに釘付けとなった人も多いことだろう。

ニューヨークにある世界貿易センターへの航空機突入という・・・
信じられない出来事からはじまった、史上最悪のアメリカ多発テロ事件。

ニューヨークへは行ったことはないが・・・
世界貿易センターと言えば、映画「キングコング」でクライマックスの舞台となった場所。

モノクロ時代、キングコングはエンパイヤステートビルに登るが・・・
ジェシカ・ラング主演のリメイク版では世界貿易センターに登ることになり、
エンパイヤステートビルが「前作通り、うちに登れ」と抗議したという逸話も記憶にある。

しかし今後、もし新しい「キングコング」が作られることになったとしても・・・
もう、世界貿易センタービルへ登ることはできなくなってしまった。

「相手を説得できないなら、せめて混乱させろ」

こんな物騒な言葉を残したのは、テロリストではなく・・・
第33代アメリカ大統領、ハリー・トルーマン。

今回の事件については、混乱が進行中であるうえ情報も不確かで
とても私などがあれこれコメントできる立場にはないが・・・

いかなる思想、立場によるミッションであろうとも・・・
罪のない一般市民を巻き込んだテロは許されるものではない。

たとえ相手がアメリカであろうが、どこの国であろうが・・・
その国には何万人という、さまざまな考えを持つ人間が暮らしているわけで
国ごと、ひとまとめに標的にするなどという行為は、やはり狂気の沙汰だ。

だから・・・戦争は狂気なんだ、とあらためて思う。

先日、テレビで「タニタニック」を放映していたけど・・・
そのタイタニックと、ほぼ同じサイズのランドマークタワー
さらに2倍もあろうかという世界貿易センタービルのツインタワーが
黒煙を上げながら次々と崩壊していく姿には、誰もが衝撃を覚えただろう。

倒れるんじゃなくて・・・まるで発破解体のように沈み込んでしまった。

ひと晩中、ニュースを見ていて・・・
私がさらに衝撃を感じたのはパレスチナ市民の映像。
アメリカを敵と教え込まれた子供たちが、お祭りのように喜んでいるではないか。

「間違った教育を受けた子どもは迷子と同じである」
・・・とは、第35代アメリカ大統領、ジョン・F・ケネディの言葉。

アメリカとパレスチナ・・・
どちらがどういう点で正しいのか、間違っているのかはよくわからないけど
少なくとも、大勢の人間が死傷しているというニュースを聞いて喜ぶ子供たちは人間的に迷子だ。

最も・・・このパレスチナの様子を映し出した映像自体、
本当は別な時、別な目的で撮影されたものではないのか・・・という疑念も残っている。

誤った情報でも・・・
それが「真実」として報道されれば私たちは鵜呑みにしてしまうかも知れない。
そして・・・気がついたら迷子になっているかも・・・。

かと言って、個人が世界のニュースを確かめるわけにもいかないが・・・
命を憂う気持ちは、自分ひとりでも確かめることはできるはずだ。

犠牲となった多数の市民に哀悼を捧げ・・・
懸命な救助活動を展開中の大勢の人たちに心からエールを贈りたい。


参考資料:「20世紀を創り出した言葉」ペギー・アンダーソン=編 弓場 隆=訳 ディスカヴァー21=刊