Episode No.912(20010728):理想郷の住人

決して二枚目とは言えない男が美しい女性にをする。

何となく切ない感じで・・・
ドラマチックなイメージがあるけれど・・・
現実は・・・みんなそんなモンなんだけど、な。

男はつらいよ』の寅さんの下敷きにもなったという
『シラノ・ド・ベルジュラク』のシラノは大きな鼻を持つ男。

銀行員から劇作家になったロスタンが書いたこの主人公には・・・
実はモデルがいるらしい。

モデルとなったのはパリ生まれの作家。
その名もシラノ・ド・ベルジュラク。

ロスタンとシラノの間がどんな関係なのかわからないけれど・・・
モデルの名前をそのまま使うなんて・・・ロスタンも思い切ったことしたなぁ。

戯曲のシラノは剣士だが・・・現実のシラノは、もと軍人。
戦争で重傷を負って除隊した後、文筆活動をはじめたらしい。

その代表作はユートピア小説『月世界旅行記』。

世界初のSFトリック映画と言われる作品に『月世界旅行』というのがあるけれど・・・
シラノが原作かどうかは定かではない。
映画の制作・脚本・監督・美術・・・そして主演まで
チャップリン並にこなしたのは、ジョルジュ・メリエス。
・・・メリエスは手品師でもあった。

さて、何で今日こんな話をしたかと言えば・・・
別に『猿の惑星』に続いてSF映画の話をしたかったからではない。

今日、7月28日は・・・シラノ・ド・ベルジュラクの命日なのだ。

シラノは今から346年前の1655年に、36歳の若さで亡くなっている。

死因は事故死。
建物のハリが落ちてきたというアクシデントがシラノの命を奪った。

現実のシラノが、その短い生涯に
いったいどんな恋をしたのかはわからないが・・・
あんまり"ついてる一生"とは言えなかったかもね。

ユートピアは・・・
思い描くより、実際に体験した方が楽しいはず。

でも、現実にユートピアがないから・・・ユートピアはユートピアなのか。
確かに「ユートピア」を辞書でひくと、こう出ている。
〜現実の社会に不満をもつ人が夢想する理想的な楽土。理想郷。

夢想するだけじゃなくて・・・何とか作り出せないもんかねぇ。
一瞬でいいんだよ・・・一瞬で。
一瞬の幸せを感じるために・・・毎日アクセクやってるんだから、ね。


参考資料:「歴史の意外なネタ366日」中江克己=著 PHP文庫=刊