Episode No.309(990823):消されてみたい "世界一のマジシャン"デビッド・カッパーフィールドの東京公演を観てきた。 わずか16歳でニューヨーク大学のマジック学科(本当にあるらしい)に教師として就任。 1978年、全米三大ネットワークCBS放送の特番でオーソン・ウェルズと共演以来、その名を世界に知られるようになり今日まで世界のエンターテイメントをリードしている彼は、今年43歳。 自由の女神を消したり、万里の長城をすり抜けたりした様子は日本のテレビでも放映されたので、ごらんになった方も多いことだろう。 来日公演は今回が3度目。 最初は7年前の花博、そして去年と今年。 実は去年の日本公演も観に行ったんだけど・・・何度観ても驚きの連続。 とくに驚かされるのが"空中浮遊"。 舞台の天井近くまで飛び上がり、宙返り・・・そのまま透明の巨大なケースの中に舞い降りて、フタをされてもグルグル回っている。 再びフタを開けると、そのまま舞い上がり、最後には観客の女性を抱えたまま・・・飛ぶ! 絶対、吊ってるはずだ・・・と思っても、まったくわからない。 まるで「うる星やつら」のラムちゃんのごとく、スイ〜ッと飛んでいる感じ。 会場で生を見ているというのに、SFX映画でも見せられているような錯覚さえ覚えてしまう。 カッパーフィールドのショーが凄いのは、単なるマジックで驚かす以上に観客を惹きつける演出にある。 飛んで見せる前には 「空を飛ぶことは人間の夢でした。夢は努力すれば必ず叶う。私が今、そのことを実践してみましょう」 と、いうようなコトをジ〜ンとくる曲にのせて語る。 去年の公演のクライマックスには 「幼い頃の話。ある朝、窓から外を見ると一面の雪景色に変わっていました。私は、これはマジックだ! と、思わず叫んでしまいました。・・・その時の感動をここで再現してみましょう」 と言って、5,000人が入る会場全体に雪を降らせた。 今年、最大の呼び物は、客席から選ばれた13人をゴンドラに乗せて、一瞬のうちに消す・・・というマジック。 そこでも、こんなコトを言っていた。 「大切な家族が、ある時突然いなくなってしまったら・・・どんなに不安でしょう? みなさんご家族を大切に」 彼がマジックを通して伝えているのは、間違いなく「感動」である。 かくして13人は、みごとに消えた。 そして観客が消されたままショーは終わった。 ショーの後、消された人たちの同伴者のために待ち合わせ場所のアナウンスがあった。 たまたまその場所に通りかかると、興奮した様子で再会した同伴者に「その時」の様子を話している声が耳に入った。 「何も見えないまま、ガタガタって横揺れがあって、気が付くと違う場所にいた」 う〜ん、消されてみたい。
参考資料:「デビッド・カッパーフィールド日本公演/U!」日本テレビ=主催 マツモトキヨシ=特別協賛
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