http://www.digitake.com/   

 

Episode No.766(20010208):優秀な素人の時代

フトした気まぐれで・・・
使い慣れているはずのアプリケーションのマニュアルを開いてみると
これまで何工程もかけて作業していたモノが・・・
実はワンクリックで簡単にできるコトを知って驚いたりするコトがある。

やっぱり基本は大切だ。
基本を知らないと・・・とんでもない無駄をしてしまう。

しかし・・・
成功者は自分が成功したパターンで再び成功しようとして失敗する。
という言葉にもあるように・・・
基本は「過去のもの」だという一面もある。

何か新しいコトをやってみようと思った時・・・
これまではどうやっていたのかが、すごく気になる。

だけど、それが「本当に新しいコト」であるのなら・・・
あてはまるパターンなどないはずだ。

20世紀最強の名プロデューサー、ウォルト・ディズニー
ディズニーが遺したモノの中でも・・・
ディズニー・ランドやウォルト・ディズニー・ワールドは最もカタチがはっきりしている。
何せ誰でもその中に入るコトができちゃうんだからね。

今でこそ、世界中の人たちが、その存在もイメージもはっきりとわかっているけれど・・・
最初のディズニー・ランドが公開されるまでは、誰もイメージできなかったろう。

実はディズニー・ランドにもウォルト・ディズニー・ワールドにも・・・
あれだけの建物があるというのに厳密な設計図は存在しなかった。

あったのはアニメ制作の時と同様に・・・
ディズニーが語るイメージを描きとめたスケッチだけ。

だから、東京ディズニー・ランドが建設された時にも・・・
提供されたのは設計図ではなくデザイン図だけだったらしい。

もし、建築のプロが新しい遊園地を作ろうと思ったら・・・
スケッチくらいはしたかもしれないけれど・・・
設計図なし建設を進めるような段取りはとうてい組めなかったろう。

ディズニー・ランドはイメージ図をもとに建設を進め・・・
造っては直しの連続・・・
まるで芸術家が作品を創作しているか・・・
もしくは子供がねんど遊びをしているような感じだ。

ディズニーがスケッチやデザイン図にウエイトを置いたのには大きな理由がある。
それは資金を提供してもらう事業家たちに、まずイメージを伝える必要があったから・・・
専門家じゃないとわからないような設計図を何枚書いても意味がなかったのだ。

基本は大切。
でも本当に新しいコトをやろうと思ったら・・・
基本を捨ててかかる勇気もまた大切。
従来のやり方では・・・従来以上のモノは決してできない。

無論、これはディズニーのような「優秀な素人」だから出来た話。
昭和を創った男・小林一三も同じだけれど・・・。

さて、あなたは自分が「優秀な素人」であるコトを信じて大冒険に挑むか?
それとも「基本」に生きて安定を望むか?

基本がどこにあるのかわからないような、この時代の中で・・・。


参考資料:「藤田 田語録」ソニー・マガジンズ ビジネスブック= 編 ソニー・マガジンズ=刊