Episode No.558(20000610):あなたは何をやりたい? 「コンセプト、賭け、シナリオ・・・といった単語のオンパレード。 私のようなベンチャーキャピタリストの耳に、それは空襲警報と同じくらい不吉に響く」 Newsweek日本語版に、こんなメッセージを載せていたのは・・・。 アップルコンピュータやヤフーなどの創業を支援したコトで知られるシリコンバレーのベンチャーキャピタリスト、マイケル・モリッツ。 記事のタイトルは『ダメ起業家はすぐわかる』。 内容を読んでみると、起業家の部分をそのまま個人に置き換えても通用しそうな感じ。 組織を変えようを立ち上がったものの・・・内容が浅はかな故、すぐにポシャる。 それは、世の中の流れを変えてやる、なんて・・・たいそうな口だけきくダメ起業家と同じだ。 「成功する投資先を見抜くのは容易なことではない。 だが、見込みのない投資先はすぐわかる」 冒頭の"ハリウッド語"を話すような連中は、SFXのような奇跡がすぐにでも起こると信じている・・・。 と、名ベンチャーキャピタリストの見方は厳しい。 そういえば昔、某大手広告代理店の営業マンにくっついて仕事したコトがあるんだけど・・・。 その人がまたよく外来語とか専門用語を乱用する人で・・・そこまで英語にしなくても、と思ったくらい。 それでもバブルの頃には、クライアントもそういう話の乗っている自分がインテリに感じられて快感だったのか・・・わりと企画も通っていた。 ところが、ひとたび景気が悪くなると上司やクライアントの態度は一変。 「キミ! もっとわかるように話したまえ!!」って言われて、その営業マン、口ごもっちゃった。 しかし、そこで言い方変えて喋れないってコトは・・・本人もあんまり意味がわかってなかったんだろうな。 時代の最先端を行く企業をサポートしているベンチャーキャピタリストも、江戸時代の豪商も、前後の焼け跡から這い上がってきた企業家も・・・結局、言ってるコトは基本的に同じ。 「われわけに最高のリターンをもたらしてくれるのは、 多くの場合、個人的な欲求に端を発した新事実なのだ」 技術さえあれば何とかなる・・・と思っていても、その技術にニーズがなければ市場は動かない。 そのニーズの源は・・・自分にある、というワケだ。 新しいコトをはじめようとする時に一番大切なのは、情熱。 まわりに乗せられただけの勘違いの熱狂と真の情熱とを区別しなければならない・・・とモリッツは言う。 他人のために仕方なく何をするよりも・・・。 自分の内なる欲求のために真剣に動く方が・・・。 案外、難しかったりするよ、ね。 逃げ場はないし、ね。
参考資料:「Newsweek日本語版 2000.6.14」TBSプリタニカ=刊
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