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Episode No.557(20000609):慣れの善し悪し

人間の学習能力のひとつとして"慣れ"がある。

ちょっと前まで苦に思っていたコトも
慣れてしまえば何ともなくなる。
だから、またそのひとつ上をやってみよう・・・というコトになる。

最近、すごく感じる機会が多いのは、パソコンの
スピードに対する慣れだ。
新しい機種を買った直後は「おお、速い」なんて感動してみたりするのだが・・・。
三日と使わないうちにイライラが再発してきてしまう。

さて、平和な世の中が続いて、普段、人間の死体にお目にかかるコトなど滅多になくなった。
せいぜい近しい人の葬儀の場でない限り、死んでいる人を直に見るコトなどはない。

先日、歴史上の剣豪について書かれた雑誌を見ていたら、ちょっと面白い記事が出ていた。
殺人事件などの検視専門医が刀で人を切るとどうなるかというコトについて解説したモノ。

結論から言えば、時代劇のようにバッタバッタと人を切り倒すなんてコトは不可能だと、その医師は言う。
動脈を切らない限り、刀の傷は致命傷にはなかなかならないし、即死も無理。
斬るより、むしろ突く方が効果的で死因は出血多量・・・時代劇みたいに「ウウッ、バタリ」とはいかない。

まして、
ギロチンでもない限り、一刀のもとに人の首をはねるなど、まずできるはずかないと・・・。
死体なら簡単に切り刻むコトはできるし、骨もつなぎ目をうまく斬れば簡単に切り離すコトも可能だとか。

最もこの説については剣の達人は「できる」と豪語していたが・・・。
そう言えば何かの本で、自決した
三島由紀夫を首をはねるには、まるで木を切り倒すように刀を4回も振り下ろさなければならなかった・・・というのを読んだ覚えもある。

少々生々しい話で恐縮だが・・・それにしても医者は、すごいコトに慣れてしまうモノだ。
慣れていないと注射針一本、刺すのでさえためらいを感じるはずなのに・・・。
まるで主婦が台所で魚をさばくが如く、人を切るコトができないと職業としては成り立たない。

主婦と言えば、
戦国時代の武士の妻たちもまた、今から考えればかなり強烈なコトをやっていたようだ。

男が合戦に出ている間、女たちの仕事には・・・。
食糧の準備や鎧、武具などの修繕や、戦国後期には鉄砲の弾づくりなんてのもあった。

そのほかの重要な仕事というのが・・・男たちが戦場で取ってきた首にお歯黒などの化粧をほどこすコト。

神戸の少年A事件は現代では狂気だが・・・。
戦国時代には女たちにとっては内職仕事に等しかったというのだから、やはり"慣れ"は恐ろしい。

今の自分にとって・・・。
どの"慣れ"を捨てるべきか?
そして、これからいったいどんなコトに"慣れ"ていけば、人間性や仕事の能力が向上できるのか?

あらためて見つめ直しつつ、次なる"慣れ"の
ステージへ・・・一歩一歩。


参考資料:「日本の歴史・合戦おもしろ話」小和田哲男=著 三笠書房=刊 ほか

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