豊かさを考える(１)
豊かさは命を軽くする
One week to think about the richness.

どんなに貧しくても…夢や希望がある。
むしろ、
夢や希望は、満たされないからこそあるもの。
…だとすれば、
豊かになって夢や希望がいらなくなることが
我々の望みなのだろうか…？

高度成長期生まれの自分に、
もちろん戦争体験はない。

おそらく戦時中には、
今ほど殺人を題材にしたドラマなんて
流行していなかったと思う。
むろん、テレビもなかっただろうけど、
小説でも…浪曲でも…ね。

敵討ちの話は流行ったかもしれないが、
少なくとも
殺人方法をあれやこれや画策するような、
ゲーム感覚で人殺しの話を楽しむ余裕(？)なんて、
そんな感覚すら生まれなかったことと思う。

また戦時中には、
自殺者が少なかったことは統計を見ればわかる。

何も戦争がいい…なんて思えるわけはないが、
生きるか死ぬかの必死さがあればこそ、
理解できたことは多分にあるように思う。

人殺しの話を楽しんだり…
理由もなく他人の命を粗末にする事件が起きたり…
自分の命さえ、すぐに投げ出してしまう…
けれど、食うには困らない生活は
…はたして、豊か、だろうか。

富にあふれたローマ帝国で、
醜く太った貴族が、
片手に持った肉をしゃぶりながら、
奴隷同士の殺し合いを見て楽しんでいる
…ような嫌悪感だな。

命を投げ打ってでも戦う必死さと…、
命を棒に振ることは根底から違う。

奇しくも今日は…あいつの命日。

【明日へつづく】