でじたけの「人生日々更新」時代の棘

Episode No.4313(20120618)[生活]Life

時代の棘
The wound that the times left.

地下鉄サリン事件
特別指名手配犯がようやく捕まり、
ニュース映像には久しぶりに、
あの日の事件の様子が繰り返し映し出された。

もう17年も経つんだな…。

うちの会社に27歳の女子社員がいるのだが、
この事件の頃、彼女は当然10歳。

「小学生だったけど、
 この事件はすごく覚えます。
 何が起こったのか、
 意味はほとんどわからなかったけど」

私はすかさず答えた。

自分にとっては、やはり
小学生の頃に起きた三島事件が同じように
心の何処かに突き刺さっているのだ、と。

当の三島由紀夫自身にも、
子供心に突き刺さった事件の思い出があるようだ。

11歳の冬に遭遇した…2.26事件。

三島は、この事件をモチーフにした
三部作の小説を書き、
青年将校たちを敬愛し続けた

子供も小学生くらいになると、
生き物はやがて死ぬのだ、ということが、
意味合いとして少しずつわかってくる。

飼っていたペットの死に遭遇して
大きなショックを受けるのも、この頃からだ。

そんな敏感な時代に遭遇した
人間の「死」に関わる事件は、
大人が感じる以上に
子供心に深い跡を遺していくように感じる。

さて、我々の子供の世代には、
どんな棘が遺されているのか。

うちの子たちにとっては
…9.11同時多発テロじゃないかな?

そうした時代が遺した棘は、
大人になってからも悶々と残っている。

あるいは忘れたつもりでいたことが、
或る日、何かのきっかけでカサブタをはがされる。

あの出来事はいったい何だったのか…
それを理解しようとすることで、
…ようやく癒されてくるように思う。

Copyright 1998-2012 digitake.com. All Rights Reserved.


人生日々更新 -Main-