Episode No.4197(20120203)[徒然]Others

切なさという愛おしさ
A feeling to grieve is human.

仕事関係の若い営業マン松井冬子展の話をしたら、
次に会った時、
彼女を連れ立って横浜美術館に行ってきたと聞いた。

彼はある種の衝撃を受けたと言っていたが、
正直、彼女はピンと来なかったそうだ。

しかし、それは
彼女が幸せな証拠なんじゃないかと思った。

傷ついた心を持った女性にとって、
自分よりも傷ついた女性が描かれた松井冬子の作品は、
より心に響くし、人によっては癒されるのだろう。

だから、その若い営業マンに言ってやった。
彼女が男に捨てられるようなことがあれば、
きっとあの作品を見て涙を流すだろう。
…試してごらん、って。

傷や痛みを理解できるのは
同じように傷や痛みを持つ人なのだ。

故郷を遠く離れた土地で、
同郷の人と出会うと何だか親しみがわくものな。

アンデルセンの童話に「すずの兵隊」っていうのがある。

スプーンを溶かしなおして作った兵隊の人形。
主人公の人形は最後に作られたために
材料が足りなくて足が一本しかない。

その一本足の兵隊が、
向こうに見えるバレリーナの人形に恋をする。

バレリーナの人形は片足を後ろに高く上げていた。
一本足の兵隊から見ると、
自分と同じように一本足に見えたんだ。

最期も悲しい結末が待っているんだけど…
こういう、せつない話が実は結構好きなんだよ。

ほかにも…
「幸福な王子」とか、
チャップリンの「街の灯」とか
「泣いた赤鬼」とか…。

…あ、今日は節分だったね。
泣いた赤鬼を思い出すと豆をぶつける気になれない。

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