Episode No.4180(2012014)[徒然]Others

怖くない生活
The life that is not fearful.

去年の紅白歌合戦で
審査員席に座っていた効果もあってか、
横浜美術館の松井冬子展は大盛況だった。

パッと見、女性が7〜8割というところ。
女性の内面を
女性に向けて描いているというだけあって、
感じ入る女性は多いようだ。

それだけたくさんの人がいたから、
安心して見ていられたけれど…
これが、もし1人きりだったら
…やっぱり怖いよな。

その怖さは、おそらく、
天城山中を独りで歩いた時の
ゾクッとした怖さに似ている。

絵画も木々も決して動きはしないのに、
何故か迫ってくる感じがして。

暮れに伊豆・一碧湖に隣接する
池田20世紀美術館
例によって独りで訪ねたんだけど…
普段も閑散としている館内なのに、
もう閉館間際だったものだから、
客は自分独りだけだった。

美術館を貸し切りで観るなんて贅沢な話。

それがね。
自分が絵を観てるんじゃなくて…
四方を絵に取り囲まれて、
絵に自分を見られているような気がしたんだよ。

ちなみに池田20世紀美術館で、
いつも一番長く観入ってしまうのは、
あのムンクが愛人を描いた絵
…これも結構怖い。

怖いものに惹かれるという心境は、
いったい何なんだろうね…。

ホラー映画は好きじゃないけど、
映画や小説でも怖いものが好きな人はいるでしょ。

どこかで、そういう
一種の危機感のようなものを感じることによって、
心のバランスをとろうとしているのかもしれない。

そう考えると…
怖くないものを見たがるより、
怖いものを見たがる方が、
日常的には怖い思いをしていないのかも、ね。

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