Episode No.4177(20120111)[趣味]Hobby

装飾的な内蔵
Decorative organ.

怖いもの見たさで横浜美術館に行ってきた。
松井冬子展〜世界中の子と友達になれる
…を観に。

サブタイトルになっている
「世界中の子と友達になれる」という作品は、
かつて同じ横浜美術館で観たことがあった。

藤の花の下の方がスズメバチになっているのは、
直に観ないとはっきりとは把握できなかった。
そして、その等身大の迫力…!

今回は初期作品から震災後の作品まで、
かなりの点数があって観応え充分。
とても1時間や2時間では、
あの繊細な筆遣いを観きることはできないな。

完成した作品だけでなく、
創作の途中経過がわかるスケッチも
多数展示されているのも興味深い。

腹を引き裂かれて横たわる女のスケッチ。
その腹の部分から出た引き出し線の先には、
装飾的な内蔵…とメモ書きされていた。

松井冬子が描く
ロールシャッハのような左右対称の華は、
はたして本当に花なのか…。
それとも墨汁が水槽に広がってゆく
キノコ雲のような文様なのか…。
見方によっては内蔵にも見える。

逆に内蔵として描かれた
赤や青の血管が這ったふっくらとしたものは
…植物や花に見えなくもない。

内蔵が飛び出た生き物は
当然、死んでいると感じる。
…だから怖いのだが、
考えてみれば、絵に描かれた花も
生きているわけではないのだから、
花だろうが内蔵だろうが、
美しいと言えば美しいし、
グロテスクだと言えばグロテスク。

それをどう感じるのかは見ている者の観念。
そう、つまり恐怖は観念にほかならない。

そして観念とは…
単純に言うと慣れなのかもしれないな。

だってそうだろう?

たいていの人は、
牧場にいる牛や豚を殺す場面には目を背けるけど、
牛肉や豚肉には舌鼓を打ってる。

魚なら生け簀に泳いでる姿を見ても
美味そうだと思ってしまうんだから、ね。

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