営業がらみの仕事をしていると、
しばしば「囲い込み」という言葉が使われる。
いかにして客を逃がさず留めておくか
…ということに、みんな神経を尖らせるわけだ。
つい最近読んだ
『著作権の世紀(福井健策=著/集英社新書=刊)』
…にも、よくこの「囲い込み」という言葉が登場する。
著作権でさえ曖昧な部分は多いのに、
商売となれば、なおその権利は、はっきりとしない。
ビジネスモデル構築の権利を主張する者もいるが、
以前、弁護士に直接聞いた話では、
少なくとも日本において
ビジネスモデルに対する特許などの権利が
認められることはまずない…という。
そもそも特許自体、
その技術によって製品などが作られる前に
取得しなければならないものだから…
すでに動き出したビジネスに
後付けできるものじゃないし、ね。
さて、『著作権の世紀』によると、
著作権を囲い込む方法は3つ。
1つ目は…隠匿。
つまり世間に知らせないこと。
2つ目は…技術。
コピーカードなどで複製できなくする。
3つ目は…法律。
著作権や商標権など法律による縛り。
この3つの方法のうち、
2つ目、3つ目の方法は
そのまま商売の囲い込みにも通じると思う。
1つ目の方法は…商売にならないから、ね。
…が、商売の場合においては、
もう1つ大切なファクターがある。
それは…信頼関係を築くこと。
顔が見える相手であれば、
裏切ることの出来ない人間関係を作る。
顔が見えない相手であっても、
ブランドなどへの信頼は信者を育てる。
技術や法律だけで縛れるほど、
人間はクールには、できちゃいない。
だから、裁判所は
入れ替わり立ち替わり毎日忙しいんだ、ね。