Episode No.3551(20100112)
比較偉人論-第2
SHARP Panasonic/PHP
早川徳次 松下幸之助
(1) 失われた少年時代

早川 徳次
1893年11月3日生/1980年6月24日没-享年86歳
早川電機工業(現・シャープ)創始者

松下 幸之助
1894年11月27日生/1989年4月27日没-享年94歳
松下電気器具製作所(現・パナソニック)創始者

今回取り上げさせてもらったお二方は
生まれた時代も国も一緒。
そのうえ商売まで同じだから
…共通点は多くて当たり前かもしれない。

日本には世界に名だたる電気メーカーがいくつもある。
ここに挙げたパナソニックやシャープはもちろん、
忘れちゃならないのが…SONY。

SONYの創始者・井深 大、そして盛田昭夫
井深の親友でもあった本田宗一郎などの話は、
ここでも数多くしてきたし、関連本もたくさん出ている。

それと比較すると…
シャープ自体は有名だが、
創業者早川徳次の名前まで知っている人は
案外少ないように感じるのは私だけだろうか?

戦後の日本を引っ張ってきた
数多くの実業家の中でも、
早川徳次と松下幸之助には、
やはり共通点が多いように感じる。

それは、もう少し広い目で見れば…
その時代を生きた人たちがみんな持っていた
エネルギー源の違いなのかもしれない。

彼らを…
とくに早川徳次と松下幸之助を
突き動かした力とは何か?

それは…淋しさではないだろうか。

早川徳次と松下幸之助は、
いずれも発明家としても知られている。

松下幸之助といえば二股ソケットで、
早川徳次といえば、
もちろんシャープペンシル

さぞかし勉強熱心な
ハカセ君みたいな青春をおくったのだろう
…と思えば、決してそうではない。

2人とも、
社会に出たのは、わずか9歳の頃である。

9歳といえば、小学校3年生くらい。
そんな子供が親元を離れ、
住み込みで仕事に就かざるを得なかった。

早川徳次は、
女性の髪を飾る
かんざしや精巧な金属製品を加工する仕事。
松下幸之助は、
最初は火鉢を作って売る仕事だったが、
その店は奉公に上がった3カ月後に潰れてしまい、
自転車屋に移った。

20世紀に入ってすぐのこの時代…
明治35、6年の頃の貧しかった日本は、
彼らに限らず、こんな子供たちで溢れていた。

日露戦争の勃発を想定した訓練で
数多くの若い兵士の命が失われた
八甲田山雪中行軍があったのも、この頃の話だ。

親元を離れた淋しさを埋めるために
我武者羅になって働く。
そんな子供たちが、
この時代には多かったのではないだろうか。

あの…
本田宗一郎(1906年生)も
井深 大(1908年生)も
盛田昭夫(1921年生)も
…まだ、生まれる前のこと。

同じ日本を代表する実業家の中でも、
早川徳次、松下幸之助と、
戦後を代表する他の実業家が
ちょっと違う感じがするのは
…おそらく、そのせいだろうな。

今回の考察では、
早川徳次、松下幸之助を中心に、
さまざまな偉人たちとの共通点を探りながら、
頑張る力の源を探っていきたいと思う。

【敬称略】

─明日につづく。


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