Episode No.3316(20090413)
似顔絵で一杯

誕生日がやってきた。

「お若いですね」なんてセリフが
誉め言葉になるような年齢に突入してくると、
昔ほどの喜びはないが…
まず生かされてることに感謝せねば。

先週末も仕事続きで、
曜日感覚も薄れるほど。

その分、儲かっていればいいんだけど、
ちっとも儲からないのが辛いご時世。

土曜日も深夜まで作業を続けて、
さて一杯やって寝るか、と
ふとテレビをつけてみると…
多摩川の河川敷に集まる
ホームレスドキュメンタリーをやっていた。

最近は30代、40代の
ホームレスも増えているという。

自分勝手に生きて社会に馴染めず、
結果ホームレスになる
…という印象があったが、
このドキュメンタリーを見る限り、
そうではないことに気づく。

どちらかといえば自己主張はなく、
素直で優しい感じの人ばかりが、
そこには映し出されていた。

むしろ…
言われた通りにやっていて、
怪我や病気をきっかけに、
言われた通りのことができなくなって
仕事を追われた人が多いようだ。

深いシワが刻まれた顔を見ていると、
例によってついペンをとりたくなる。

一人で呑んで、
テレビに映し出される顔をジッと見ていると、
無性に似顔絵が描きたくなってくるんだ。

似顔絵はマジックペンで描くに限る。

鉛筆で薄くなぞるように描いていると
決断が鈍って、コレだという線が見つからない。

後で直せると思うと、かえってダメなんだ。

とらえたイメージで迷いなく線を引く
…これが似顔絵を描くコツだと思う。

少しずつ直そうなんて思っているうちに
目の前のモデルはさっさと消えてしまうし、ね。
そういうやり方をしていると、
結局何も仕上げることはできない。

自分に都合良く、世の中は動いてくれないから。

心優しきホームレスの人たちの話を聞きながら
ペンを走らせて…
また、人生について考え込む誕生日。

多摩川のナカノさん


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