Episode No.1634(20031119):
後追いしてない?
どんな大作洋画を観ても
お目にかかる名前がある。
人気俳優? ・・・そうじゃない。
人気字幕翻訳者、
戸田奈津子の名前だ。
最近は、よくテレビでも
その姿を見かけるようになって、
英語と日本語の文化の違い、
そして・・・
わずかな文字数で
それを表現する難しさについての話を
聞いたことがあると人も多いだろう。
結構なお年のようだが
意外にも字幕翻訳者として
本格的デビューしたのは1980年。
それでも、この道23年になるけどね。
デビュー作はコッポラ監督の『地獄の黙示録』。
コッポラ監督が来日した際、
たまたま通訳として働いたをきっかけに
コッポラの口利きで
ようやく念願の字幕翻訳者になれたという。
大好きな映画と英語を両立する仕事として
字幕翻訳者をめざしはじめたのは大学在学中。
その後、秘書や通訳を仕事を経て
苦節20年でようやくめざしていた職業に就けた。
近年、字幕翻訳者をめざす若者が多いことに
戸田奈津子は、こう言う。
「水をさすようだけど、
この仕事、日本に20人もいれば
足りる仕事なんですよ。
今の時代、それこそ
いろんな仕事があるわけだから、
そっちを目指した方がいい。
前人未踏の分野にね。
人が歩いた道はすでに混み合っている。
だから前人未踏の分野にいった方が、
自分の可能性を発揮できる可能性がある。
私の時代には
たまたまこういう仕事をする人がいなかった」
・・・確かに、そうかもしれない。
「自分を活かせる職業に就きたい」
・・・と言いながら、
今ある職業の中から、それを探すこと自体、
ナンセンスなのかもしれない、ね。
ただし・・・
自分流のやり方が通るのは
どこかの場所で自分の力を認めさせた後の話。
チャンスさえあればできる
・・・なんて考え方じゃあ
いつまでたっても認めてはもらえないよ、ね。