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Episode No.805(20010326):豊かさの指標

最近、あんまり聞かなくなった言葉のひとつに・・・エンゲル係数っていうのがある。

エンゲル係数というのは・・・
家計の総支出に対する飲食費の割合。

家計費=所得が低いほど、この係数は高くなるワケで・・・
かつては、このエンゲル係数「豊かさ」の指標だった。

今日、3月26日は・・・
このエンゲル係数を提唱したドイツの統計学者、E・エンゲルの生まれた日。
今からちょうど180年前、1821年のことだ。

鉱業の専門家だったエンゲルが・・・
統計学者ケトレーとの出逢いにより、統計学の研究者に転向し・・・
社会統計を体系化したのは非常に意味のあることだった。

しかし、それが提唱されたのは、どう考えても100年以上前の話だ。

「食べられる」ことが当たり前となった現在・・・
「豊かさ」の指標として、よく言われるでいるのは
エンゲル係数の基準を変化させ、飲食費ではなく文化的なことにつかった費用で割る「文化係数」。

食べ物と違って「何が文化か」というのは、判断の難しいところだと思うけど・・・。

本を買う・・・これは文化だろう。
でも、カタログ雑誌ならどうか?
あるいはテレビやパソコンは・・・?

とにかく「口に入るもの」が食べ物であるのに対し・・・
目や耳に入るもの、これがすべて文化だと言えるような、言えないような・・・。

中には「不倫は文化だ」なんて言う人もいたくらいだからね。

体の栄養が食べ物だとしたら、文化は心の栄養であることに間違いはない。
問題は・・・何のために栄養をつけるのか、だろうな。

豊かな人間=ヒマがある人間でもないし・・・
もちろん多忙で飛び回っている人も決して豊かには見えない。

ものすごく単純に言えば・・・
豊かな人って、いっしょにいて飽きないし・・・元気づけられるような人なんじゃないかな?!

そういう人が何に金をかけているか?
それは一概に何とも言えないけれど・・・
何に時間をかけているのか・・・ということについてなら指標は出せるかも知れないね。


参考資料:「歴史の意外なネタ366日」中江克己=著