Episode No.1344(20021214)
巨人の討ち入り

かつて活動屋は
「一週間のために命を削る」職人という
プライドを持って仕事をしていた。

活動屋とは・・・つまり映画スタッフのこと。

1966年に公開された大映の『大魔神』シリーズは
異色特撮時代劇として人気を集め・・・
一作目の『大魔神』は4月、
二作目の『大魔神怒る』は8月、
三作目の『大魔神の逆襲』は12月と・・・
なんと同じ年に全三作が封切られている。

日本映画に才能と金が集まった
・・・こんな勢いのある時代もあったわけだ。

最も『大魔神』シリーズが人気のわりに
三作で打ち止めされてしまったのは
当時映画1本6,000万円で作られていた時代に
製作費が1億以上もかかったことが原因らしい。

今のようにCGがあるわけじゃなし・・・
等身大の『大魔神』を
広大なセットに立たせて撮影しているシーンもあるから
無理もない話だ。

「一週間のために命を削る」とは・・・
公開期間がわずか一週間くらいしかないのに
何ヶ月も死ぬ思いをして仕事をしていた、ということ。

わずか3〜4ヶ月で
あれだけの映画を作っていたのだから
そりゃあ、想像を絶する苦労だったに違いない。

だけど・・・
たいていの仕事、いや仕事だけでなく
およそ物事は、ある一瞬のためだけに
苦労がつきまとうのであって・・・
これだけ苦労したのだから、これからは安泰
・・・なんてことは、まずあり得ない。

マラソンランナーのように・・・
ゴールの喜びは一瞬で、
次の瞬間には、もう次のレースに向けて
過酷な練習が待っている。

そういう覚悟がないと
何だか苦労したことが報われていないような気がするけど
・・・それは大きな勘違い。

ゴールの一瞬を噛みしめた者だけが
もっと大きなレースへの挑戦権を得、
もっと大きなステージに踏み出す勇気をモノにできる。

結局はその繰り返しで・・・
死ぬまでにどこまで行けるか、
そういうことなんだろう、な。

『大魔神』を『スパイダーマン』みたいに
最新技術でリメイクしないかなぁ。
千と千尋の神隠し』みたいに
海外でもウケると思うんだけどなぁ・・・。

新作じゃなくて
リメイクばかり期待するのも何なんだけど、さ。


参考資料:DVD「大魔神〜封印函 魔神降臨」ブックレット 原口智生=監修 非売品