Episode No.1198(20020627):考えれば、考えるほど

考えているのか・・・
それとも、見ているだけなのか・・・
それは、はた目にはよくわからない。

見ているふりをして
ただ、ボーッとしていることもあれば
考えてる素振りを見せながら
結局、見ていただけに終わることもある。

「考える人」と言えば
ロダンの彫刻が有名だが・・・
「考える人」というタイトルは
ロダン自身がつけたものではなく、
鋳造家のリュディエという人物が後でつけたもの。

もともと、この「考える人」は
ロダンの「地獄の門」という大作の一部。

罪人たちが地獄に堕ちていく様を
眺めているのが・・・「考える人」なのだ。

ちなみに「地獄の門」自体は・・・
ボードレールの「悪の華」
ダンテの「神曲」といった文学作品をモチーフに
ロダンが彫刻で表現したものらしい。

見て、そして、考える。
地獄を目の当たりにしないまでも
日常、我々がことあるごとに繰り返している動作。

では・・・何故に考えるのか?

実は「思った」だけで
「考え」にまでは至っていないものが、ほとんど。

「考え」は「行動」を伴って、はじめて意味を成す。

考えた挙げ句、何もしない・・・ということはあるだろう。
しかし、そんな場合でも
生きている以上は、かわりに何かしているはずだ。

そういう意味では
何もしないということは、あり得ない。
必ず、どちらかを選んでる。

「考える人」が何を本当に考えたのかは・・・
立ち上がらないことには、永遠にはっきりしない。

そして、考えたことの結論が出るのは・・・
常に行動の後だ。


参考資料:「雑学大学」日本博学倶楽部=編 PHP文庫=刊