Episode No.1166(20020521):敵にまわせない男

最近、深夜帯のテレビをつけると・・・つい見てしまうのが、NHK。

プロジェクトX」とか「その時、歴史は動いた」の再放送をやってるでしょ。
民放でも、もつと積極的に再放送をすればいい番組は
少なくないと思うんだけど・・・
そこは、やはりスポンサー次第というつらさ、か。

この間、見たのは「その時、歴史は動いた」のヒトラー特集。
見逃してしまっていたんで、ちょうどよかった。

ミュンヘン一揆が失敗に終わったヒトラーが・・・
そのわずか十数年後に、何故、首相
・・・そして独裁者に成り得たかねという内容。

逮捕された田舎政治家ヒトラーは
当時、オーストリア人でドイツ人のパスポートは持っていなかった。

当然、国外退去を申し渡されるところだが・・・判決は禁固5年。
しかも、刑務所内では面会はおろか、出入りさえ自由。
挙げ句の果ては、わずか9ヶ月で釈放された。

法廷のショーマンとして
腐敗しきった政権を攻撃したヒトラーの演説は
毎日、新聞の一面に取り上げられ、民衆の心をつかんだ。

これほど大がかりで・・・しかも安上がりな広告はない。

そもそも、容疑者であるヒトラーに
これほどの発言権を与えた法廷というのが例外中の例外。

実は、ヒトラーの起こしたミュンヘン一揆のメンバーには
当時、法務省のメンバーも多く参加していて
ヒトラーを裁けば、法廷をも裁くことになり、
裁判所の機能そのものが失われかねなかったらしい。

ヒトラーが逮捕後のことまで念頭に置いて
一揆のメンバーを募ったかどうかは定かではないが
結果的には・・・思うツボ。

この時・・・
法廷が保身ではなく、通常の法律に基づいてヒトラーを裁いていれば
独裁者はもちろん、第二次大戦も起こらなかったかも知れない。

ヒトラーは、相手の自分可愛さを見透かして、それを自在に操った。
が、本当のところ・・・
操られてしまった人たちは、ヒトラーにではなく自分の弱さに操られたと言っていい。

最大の敵は・・・
やっぱり自分なんだな。


参考資料:NHK「その時、歴史は動いた」・・・こんばんは、松平です。