Episode No.1099(20020304):楽しい回り道
先週末・・・
テレビ東京の『芸術に恋して!』という番組で
手塚治虫の話をしてた。
丸からキャラクターを創造し
ひたすら丸にこだわった手塚治虫の話。
『手塚治虫/創作の秘密』という
NHKの番組をビデオ化したものの中で
まだ元気だった頃の手塚治虫が・・・
「最近、丸が描けなくなった」
なんて言っていたのを思い出した。
とは言え・・・
コンパスなしで正円を描くという
神業を持っていたんだから
描けなくなったと言っても、当然人並み以上。
命のカタチはわからないけれど・・・
丸い星に住む生き物たちの基本は丸。
母親の乳房も・・・
赤ん坊にとっては、
自分を生かしてくれる宇宙のすべてだ。
合理性を追求すれば直線の組み合わせになる。
でも・・・
それだけでは生物は疲れてしまう。
「自然が僕に漫画を描かせた」
と言う手塚治虫の言葉は・・・
建築家アントニオ・ガウディの発想と同じ境地だ。
手塚治虫が尊敬したディズニーにも、こんな話がある。
ディズニーの叔父さんは機関車の運転手で・・・
ディズニー自身、幼い頃から機関車が大好き。
確か、ディズニーランド計画の前の話だった思うが・・・
ディズニープロのスタッフが
ディズニーの誕生日に手作りの機関車をプレゼントした。
またがれば大人も乗れるリッパなもので・・・
レールはディズニー邸の庭に敷かれた。
せっかくだからトンネルを掘ろうという話になった時、
ディズニーの注文は・・・S字に掘ってほしいということ。
ただ、山を通過するのなら・・・
直線の方が絶対、合理的で工費も安く済む。
でも・・・先が見えない曲がりくねったトンネルの方が
ドキドキハラハラして楽しいと言うのだ。
人生も・・・
通過するだけのものじゃなくて、楽しむものだから
曲がりくねっていて、ちょうどいいのかもね。
ただし・・・
行きたい先をある程度は明確にしないと
いつまでたっても暗いトンネルの中を
グルグルまわってることに・・・なっちゃうね。