Episode No.996(20011103):文化を映し出すもの
今日は文化の日。
文化の日に生まれた文化人・・・といえば、手塚治虫。
亡くなっては1989年・・・もう12年にもなるんだなぁ。
生きていれば、今日で72歳。
人の何倍も寝ずに働いたとは言え・・・つくづく惜しい人を亡くしましたなぁ。
文化って何だろう?
なんて考え出すとキリがないけど・・・
結局、目に見えるのは文化の象徴であって
そこに文化が根付いているかどうかは、そこに今いる人間次第。
さて、文化の日に誕生した当時、文化の象徴だったものといえば・・・
今も日比谷公園を見下ろす、日本有数の一流ホテルと言われる帝国ホテルがある。
帝国ホテルが開業したのは、今から111年前・・・
明治23=1890年の今日、11月3日のこと。
時の外務大臣、井上馨が
「首都にホテルと呼べるものがないのは国家の恥」
と訴え、宮内省の賛同を得て建てたのが
日本初の本格的なホテル・・・帝国ホテルだった。
開業当初は、建坪740坪のルネッサンス様式レンガ造り3階建てで客室は60室。
総工費26万円と聞くと、ずいぶん安く感じるけど・・・
その頃の公務員の初任給は70円くらいのものだったから
現在の貨幣価値に直すと、8億円以上にはなる。
ところが・・・
渡辺譲設計のこの建物は、創業から32年後の大正11=1922年に火災で焼失してしまう。
その後、天才建築家として名高いフランク・ロイド・ライトにより
地上5階、地下1階、客室270室を持つホテルに生まれ変わるが・・・
その新生・帝国ホテルがオープンしたのは、奇しくも大正12年9月1日。
つまり関東大震災の起こった、その日だった。
しかし、幸いにも帝国ホテルは軽度の損傷で済み・・・
ライトの耐震・耐火構造を証明することとなった。
そういえば・・・
今では結婚式や披露宴をホテルでやるのは当たり前となっているが
かつては、みんな神社や自宅でやっていた。
ホテルで式や披露宴を行うきっかけとなったのが・・・
やはり関東大震災による神社の崩壊だったと読んだ覚えがある。
文化は、今そこにいる人間が継承していくもの。
だとすると、その時代の事情によって、やっぱり変わっていくモノなんだろう、ね。