Episode No.973(20011008):走れラビット

高橋尚子選手の活躍で・・・
最近、日本でも注目を浴びるマラソン業界には
「ラビット」という専門職があるらしい。

高橋尚子選手が世界新記録を樹立した時にも活躍していたという、この「ラビット」。

どういう仕事かというと・・・
選手のペースを引っ張るために、
ゴール寸前まで選手と一緒にハイペースで走るプロフェッショナル・ランナー。
女子マラソンの時には男子のプロ・ラビットが併走する場合が多いようだ。

ベルリンマラソンでも前半戦・・・
高橋選手をぐるりと囲むように男子選手が走っていた。

こうしたペースメーカー用の選手を「ラビット」と呼ぶようになったのは
イギリスのドッグ・レースで先頭に走らせる
機械仕掛けの兎からきているそうだが・・・

最初に飛ばしてゴールまでは行かない「ラビット」と聞くと
兎とカメ」の童話を思い出してしまう。

ただ、ごく希に・・・
「ラビット」要員だった選手が、そのままゴールまで爆走し
優勝してしまうケースがオリンピックでもあるらしい。

当て馬の意地を貫いて勝ってしまうなんて・・・
なんだか「ロッキー」みたいだな。

考えてみると・・・
学校や会社など、どんな組織にも「ラビット」が時々いるよね。
ヤクザの世界で言えば「鉄砲玉」に近いような・・・。

確実にゴールすることまで計算に入れていたら
とてもできないような思い切った行動をとる・・・
そんなヤツがいると良かれ悪しかれ確かに勢いはつく。

だけど・・・たいていの場合は
「どうせ最後まで続かないよ」とか「やっても意味がない」とか
そんな周囲の言葉に足を引っ張られてるのがオチ。

走る気のない連中が大勢いるおかげで・・・
走れば出せるかも知れない新記録も夢のまた夢・・・。

高橋選手の場合には・・・
あまり速く走りすぎないように「ラビット」を使ったらしい。
さすがに世界新を出す人は違う。

世界新とはいかないまでも・・・
せめて自己ベストを出すために
周囲はブレーキ役と割り切るのも、ひとつの考え方かな。
勢いだけじゃ・・・最後まで続かないし、ね。

ゴールしたところを見せれば・・・誰も否定しようがない。


参考資料:テレビとか、いろいろ