Episode No.1013(20011123):仕事とは何か?

仕事に対する定義も人それぞれあるだろうけれど・・・
一般的な「稼ぐ」仕事については、その人の思いがどうであろうと
結局、依頼してくれる人があるか、ないか・・・だよな。

「仕事がある」というのは・・・
言い換えれば、誰かから「頼まれていることがある」ということ。

もちろん、仕事をこなすだけの腕や知識は必要だけど・・・
それだけあっても成り立たないのが仕事だ。

そういう意味で言うと・・・
器用貧乏と言うのは、つまり
依頼人のいない腕のあるような人、ということになる。

逆に、腕がなくても仕事がある人もいる。

医者や弁護士は免許がなければできないが・・・
コピーライターなんて名刺にそう刷り込めば、
日本語が書ける人なら誰だってなれる。

なることはできるが・・・
それで食べていくためには、やはり依頼人が必要だ。

プロとアマの最大の違いは、そこにある。

プロとしてやっていける人は、
依頼人を獲得しそれを満足させられる人に限られる。

仕事とは・・・基本的には他人のために汗水たらすことだ。
そこには、その人でなければできない要素は盛り込まれるが
決して自己実現のための手段には成り得ない。

だから・・・
仕事をとること自体が夢だなんて思っていると・・・
何をやってもすぐに失望するだろう。

たとえ手塚治虫だって・・・
ネームバリューだけで神様と呼ばれていたわけではない。
実際・・・物語が途中なのに連載終了になってしまった作品も少なくないし。

社会との関わりの中で自分を活かすことが仕事の絶対条件。
そこには、また自分勝手な想いとは別の喜びも発見できるはずだ。

そこまで感じられないと・・・
仕事の中では一人前とは呼ばれない。

アラン・ワッツという宗教家が、こんなことを言っている。

「自分がどんな人間かはっきりさせようとするのは
 自らの歯を噛もうとするようなものだ」

自分が一人前かどうかは・・・周囲が決めてくれることだ、よな。


参考資料:「世界を動かした名言」J・B・シンプソン=編 野末陳平/隈部まち子=訳 講談社=刊