Episode No.1004(20011113):マニュアルの活かし方

自分の勉強不足を感じると・・・
つい手を出してしまうのが、ノウハウ本やマニュアル本。
書店のビジネス本コーナーには、そんな「売れ筋」本がいっぱいだ。

確かに・・・
ちょっとしたコトを知らず、自己流を押し通していたために
無駄なアプリケーションをしていた、なんてコトは多い。

ただ、それはパソコンなり何なりの機械の操作方法に限ったコトで・・・
ビジネス・ノウハウ本を読んで、
仕事がうまくいった例などは、あまり聞いたことがない。

おそらく・・・読む側の姿勢に問題があるんだろな。

つまり・・・
ちょっと本を読んだくらいで、成功しようなんて根性がそもそもの間違い。
そういう即物的な考え方では、何事もうまくいかない。

実を言うと私は・・・
仕事で企業の販促マニュアルなども書くことがあるんだけど
マニュアルというモノには、
できない人にも最低限これだけはやってもらおうという目的以上のモノはない。
言い方をかえれば・・・
人並みの仕事をこなすための行動方法が書かれているのがマニュアル。
だから、読んだ通りにやっても決して人並み以上には、なれるモンじゃない。
したがって・・・期待以上の成功をおさめることなど不可能と言っていい。

マニュアル本やノウハウ本をちょっとかじって・・・
勉強したつもりになっている奴ほど、右から左へ受け売りのセリフが多い。
そういう奴の話は、ハナにつくからすぐわかる。
おまけに、こちらからの質問には的確に答えられない場合も多い。

そんなモノは、すぐ見透かされてしまうし
それら騙されてくれる程度の相手は、たいした相手ではない。

ビジネスで言えば・・・
大きな利益を上げさせてくれる相手、
あるいは、細々とした利益でも
長い付き合いのできる相手との付き合いは・・・騙していたのでは続かない。

マニュアル本やノウハウ本が、普通の本と最も違う点は
行間に何も書いていない、という点だろう。

しかし・・・
ビジネスにかかわらず、実際の人間関係は
相手の行間を読むことで成り立っている場合が多い。

そこが訓練されなければ
相手からニーズも引き出せなければ・・・
自分が言いたいコトを豊富なボキャブラリーで伝えることも難しい。

結局、どんな技術も知識も・・・
人として形成できているうえじゃないと役に立たない、というワケだ。

「自分が立っている処を深く掘れ
 そこからきっと泉が湧き出る」・・・高山樗牛(歴史小説家・評論家)

ワラをもつかむような心境の時には・・・
まず、我をつかめよ。

付け焼き刃で勝てる者ばかり相手にしてたんじゃ・・・
いつまでたっても必要な敵は倒せない。


参考資料:「メゲそうになる心を支える言葉」赤根祥一=編著 日本実業出版社=刊