Episode No.919(20010806):いけないから・・・やる?

今週も先週に引き続き、何となく江戸時代の話から・・・

1919年から1933年までの14年間・・・
アメリカには天下の悪法といわれた禁酒法があった。

無理矢理、禁止したためにヤミ酒が増加し、ギャングが力をつける。
カポネとネスと闘いは『アンタッチャプル』として有名になった。

『アンタッチャプル』のラスト・シーン・・・
カポネとの闘いに勝ったネスは、新聞記者から問われる。

「禁酒法が撤廃になりましたね。これから、どうします?」

「うちに帰って、一杯やるよ」

何ともカッコイイ話だけど・・・
ミッションの意味ではなく、ミッションそのものに生きたネスは
良くも悪くも、ちょっと軍人的ではあるな。

さて・・・
酒は百薬の長、なんて言ってる日本には
酒が手に入りにくい時代はあっても、酒が禁止された時代はなかったと思う。

ところが・・・
煙草が禁止されていた時代はあった。

今から389年前の今日・・・慶長17=1612年8月6日、
徳川幕府は、煙草の栽培、売買、喫煙の禁止令を出した。

煙草が日本に入ってきたのは、天正11=1584年だと言われているから・・・
それから28年後のことである。

当初、煙草は病気を治すための薬として用いられたが・・・
吸引の仕方などの問題で、ショック死する人も少なくなかったのが禁止の理由だ。

しかし、禁酒法の場合と同じく、ヤミ品が横行し・・・その結果、法令撤廃。
1716〜1735年頃になると、
幕府が煙草の栽培を奨励するようになり・・・今日に至っている、というワケ。

最近は喫煙場所もかなり限られてきて・・・私も喫煙者として肩身が狭い。
ただ、子供の前では吸わないようにしてる。
やっぱり・・・体に悪いだろうし・・・真似されたくないし・・・

そんな風にしていると、たまに「偉いですね」なんて言われるけど
吸わない方が、よっぽど偉いと思うな。

誰の言葉だったかな・・・こんなのがあった。

「アダムとイブは、林檎がほしくて食べたんじゃない。
 禁止されていたから食べたんだ」

誰かに何かをやらせたいと思ったら・・・
まず禁止してみる・・・というのも、ひとつの手かも知れない、ね。


参考資料:「歴史の意外なネタ366日」中江克己=著 PHP文庫=刊