Episode No.861(20010530):人は弱くて当たり前

今からちょうど570年前の今日・・・1431年5月30日。
ひとりの"聖女"が命を落とした。

ジャンヌ・ダルク・・・享年19歳。

つい先頃も映画化されて話題になった彼女は、フランスを救った聖女。
百年戦争の最中・・・神のお告げを受けて立ち上がるまでは、ごく普通の少女だったらしい。

神がかりな魅力と悲運の人生・・・
そして何よりも強さが長い間にわたって人々の心を打っている。

男にとっても女にとっても・・・やっぱり強さは大きな憧れ。
なぜなら・・・
みんな自分が強くないコトをよく知ってるからだと思う。

オフ会で知り合ったHクンというシナリオライターが
自分で書いて放映された「ウルトラマン」シリーズのビデオを送ってくれた。

1歳半、4歳、7歳の子供たちを集めて、早速、拝見。

登場した怪獣が、警備隊にすぐやられてしまう、という一風変わった話だったんだけど・・・
反応はさまざま。

1歳半は怪獣が出てくるだけで興奮するが・・・
7歳は「人間にすぐやられちゃうなんてダサイよ」と言う。
4歳の紅一点は・・・とにかく、みんなで集まって同じモノを見ている行為自体が楽しいらしい。

自分が子供の頃を思い出してみると・・・
確かに、怪獣が街を壊すところが面白くて見ていた感はある。
怪獣と戦うヒーローが出てこない「ゴジラ」の面白さも最初はそこにあったと思うし。

やがて、ヒーローものを見るようになると・・・
早速、ヒーローの真似をする。

なぜ、真似たがるのかと言えば・・・カッコいいから。
なぜ、カッコいいのかと言えば・・・強いから、だ。

ビデオを見ていると、やがて4歳の長女も7歳の長男に同調してくる。
しかし、さすがに怪獣もやられっぱなしではいない。
それじゃあ、ウルトラマンの出番はなくなっちゃうし・・・。

子供たちはウルトラマンの出番を心待ちにしている・・・これは間違いない。
でも・・・
一番、真剣になって見ていたのは、ウルトラマンの活躍シーン・・・でもなかったようだ。

苦戦するウルトラマンを助けるために命をかけて急降下する隊員の表情に・・・
ググッと前に出て・・・1歳半の次男まで釘付けになっていた。

ウルトラマンは強いから・・・最後に勝って当たり前。
人間が弱いコトは・・・実は子供でも知っている。

その弱い人間が頑張って強くなる・・・
その姿には、世代や時代を超えて共感するモノがあるようだ。

今日は、かなり「教育論」みたいな内容になっちゃったな・・・
まぁ、いいか・・・ジャンヌ・ダルクの命日だし。

1431年5月30日・・・
ひとりの"聖女"が歴史に名を刻み込んだ。


参考資料:「歴史の意外なネタ366日」中江克己=著 PHP文庫=刊 ほか