Episode No.671(20001020):誰に死に水をとらせたい?
うちの近くに拡張工事中の道路がある。
最近は誰もそう呼ばなくなったけれど・・・
かつては、この道路を「ワンマン道路」と言った。
敗戦国、日本の独立を成し遂げた大宰相・・・
吉田 茂が「ワンマン」とアダナされていたコトは知ってると思うけれど・・・
「ワンマン道路」は、その吉田が自宅のあった茅ヶ崎と東京の間を行き来するために作られた道路だ。
道路が開通したのは昭和30年代に入ってから。
首相として通算在職通算日数は、2,616日におよんだものの・・・
最後の第5次吉田内閣が総辞職したのは昭29年12月10日だから・・・
無念にも宰相としてこの道路を通るコトはなかっただろう。
その吉田 茂が89歳の天寿をまっとうしたのは・・・今から33年前の1967年10月20日だった。
その時、吉田の長男は海外留学中・・・戸籍上の妻とは別居中で・・・
死に水をとったのは、身のまわりの世話をしていた女性だった聞いたコトがある。
彼女は元神楽坂の芸者・・・その筋では「愛人の鏡」、「伝説の愛人」といわれた人だったとか。
しかし、話を聞く限りでは、もはや「愛人」ではなく、こっちの方がまるっきり「本妻」。
戸籍上のコトがあるから「心の本妻」といったところか。
人間同士のつながりというモノは実に難しい。
こと、結婚に関しては誰しもが、その難しさに頭を悩ませているコトだろう。
恋愛から結婚にいたるプロセスは楽しいかも知れないけれど・・・
世界中の人を見比べて相手を選べるワケじゃないし、選ばれるワケでもない。
万が一、結婚してから、もっと自分に合った相手に出逢ってしまったら、どうすればいいのか?
でも、そんなコトを考えていたら・・・結婚なんて絶対にできやしない。
結婚という法律自体には賛否両論あるだろうし、いろんな考え方もある。
だから、私はそのコトについてとやかく言う気はないけれど・・・。
経験から言わせてもらえば・・・
好き合った者同士がいっしょに暮らしたいと思うのは、すごく自然なコトだし。
大切なのは「結婚」そのモノじゃなくて「生活」なんだと思う。
生活をしていれば・・・良くも悪くもお互い変わってくる。
その変化に耐えられるかどうか・・・もっと言えば、その変化を楽しめるかどうかがポイント。
「ワンマン道路」も吉田 茂が計画した頃とは、ずい分と変わった。
通行する車の量が増えたんだから・・・変わっていかなきゃ時代に対応できっこない。
「ずっと愛し続ける」気持ちは大切だろうけど・・・そんな言葉は気休めだ。
幻のような未来を語られるより、今してほしいコトの方が重要なんじゃないかな?
「共同生活」をする者同士としては、ね。
考えようによっては夢のない話かも知れないけれど・・・
大切に思える「今」があるのは、もっと楽しいよ。