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Episode No.655(20001002):「無」という「有」

先週、紹介した映画監督、小津安二郎の墓碑には「無」と書かれている。
そういえば死の恐怖を乗り越えてハリウッド映画に出演した松田優作の墓碑にも「無」と刻まれている。

道を極めた人たちが行き着く「無」の境地・・・

今日、10月2日はインドの「偉大なる魂=マハト」・・・マハトマ・ガンジーの誕生日だ。
今から131年前、1869年のコトである。

無抵抗主義という力強い抵抗によって、インドの独立を勝ち取ったガンジー。

「闘うといっても、暴力に対して暴力で闘うのではありません。
 インド人は何ものにも屈しない強い意志によって、人間らしく闘うのです」

後に首相となるネール青年に語った言葉は、ガンジーの生き方を端的に表していた。

話はいきなり俗っぽくなっちゃうけど・・・
西武に「無印良品」というコーナーがある。
昔から思っているんだけれど、これは「無印」という名のリッパなブランドだよね。

自分には何もない・・・そう思って闘える人は強い。
無我夢中っていうのは、そういうコトでしょ。

そりゃあ、生きていれば子供にだって、それないり大切にしている財産があって・・・
大人になれば守らなければならない家族もあるし、仕事もある。

幸せっていうのは満足しないとつかめないモノかも知れないけれど・・・
中途半端なところで強引に満足したふりして、つかんだ幸せなんか・・・
風が吹けば簡単に飛んでっちゃうような気がするんだよね。

偉い人は、みんな死ぬまで闘うコトをやめなかった人たちだ。
どんな平和主義者だって・・・生きてる以上は闘わざるを得ない。

大切なのは「闘わされてる」っていうんじゃなくて、自分で「闘っている」という感覚だと思う。
仕方なく生きてるんじゃ・・・人生、もったいないじゃない?!

あー今日も、もう一日が終わっちゃった・・・と考えるより
よし、今日は何と何ができた・・・と思って眠りたい。
それを積み重ねていけば、きっと・・・あーいい人生だったと思えるに違いない。

そりゃあ、うまくいくコトばったかりじゃないし・・・
時には考えるのもイヤになっちゃうコトだってあるけれど・・・

そんな時には、余計なコトは考えずに・・何もないフーテンの寅さんのセリフを思い出す。
「人間は何のために生きているのかな」という甥っ子、満男の問いかけに・・・寅はこう答えた。

「何て言うかな、ほら、
 あー生まれて来てよかったなって思うことが
 何べんかあるだろう、
 そのために人間生きてんじゃねえのか」


参考資料:「今日は何の日」PHP研究所=刊
     「寅さんの人生語録」山田洋次・朝間義隆=作 寅さん倶楽部=編 PHP研究所=刊