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Episode No.651(20000927):ホンモノは自分の中にある

作家を目指したのは高校生の頃。
数多くの文芸誌に投稿しては落選を繰り返す。

しかし、慌てず騒がず・・・

ようやく35歳の頃からエッセイを発表しはじめ・・・
次の5年、つまり40歳になるまでに単行本を出す計画を立て、ジックリと進む。

言っておきますけど、私のコトではありません・・・当然だけど。

1997年、直木賞を受賞・・・
昨年は高倉健主演で映画化もされた『鉄道員(ぽっぽや)』で日本中を泣かせた、浅田次郎がその人。
私はあいにく読んでも観てもいないので・・・泣いてはいませんが。

予定通り、40歳で単行本デビューをはたした浅田次郎の次なる目標は・・・
45歳までに自分の思い通りの作品を書くコト。

『鉄道員(ぽっぽや)』は46歳の時の作品だ。

高校卒業後、自衛隊をはじめ、さまざまな職業を経験。
「すべては小説家になるため」の修行である、と本人は言う。
現在も作家の傍らブテックを経営する商売人でもある。

浅田が文芸誌に投稿をしていた若い時代・・・
当時、注目されていたのは村上龍をはじめとする、ちょっと難解な作品が多かった。

そういう作品に比べれば、わかりやすく・・・
見方によっては古風な浅田の作品は、評価されにくかったというワケだ。

しかし、浅田次郎には・・・
「名作はエンターテイメント」であり・・・
「誰にもわかりやすく」しかも「読む人に福音を伝える作品でなければならない」という信念があった。

時代は気まぐれだ。

別に村上龍の作品が一過性のブームだったとは言わないが・・・
注目される作品と残る作品は、違う。

人間に寿命がある以上、本気で何かをやろうと思ったら・・・
いつかは世の中に出ていかなければならない。

そのタイミングをはかるために大切なのは時代を見る目であると同時に・・・自分を見る目だと思う。
時代がどうあろうと、自分にできるコトというのは・・・きっと決まっているだろう。

今さら、三島由紀夫や村上龍を目指すコトはできない私にとっても・・・
ある意味で浅田次郎は希望の星。
作品もマトモに読んでいないクセに都合のいい話だけど・・・。

さて、私も40歳までに・・・どうするか?

でも60歳くらいになっても今と同じだったら・・・
今度は65歳でフランチャイズをはじめたカーネル・サンダースを目指してる、かもね。


参考資料:「作家デビュー 抜け道ガイド」もの書き観察学会=編著 メディアパル=刊