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Episode No.649(20000925):英雄になる方法

オリンピックって・・・いつまで?
あんまり一生懸命は見てないんだけど・・・見るとやっぱり応援したくなっちゃう。

ひさしぶりに「国民的英雄」が何人も誕生してるね。

「国民的英雄」といえば、もう40年近く前の話になるけれど・・・
1962年に単独ヨットで太平洋横断に成功し、当時「国民的英雄」になった堀江健一について・・・
本田宗一郎が書いたモノに、ちょっと興味深いのがあった。

堀江健一は当時22歳くらい。
太平洋横断の冒険記『太平洋ひとりぼっち』は、その後、石原裕次郎主演で映画化もされた。
現在60歳になるが、つい先頃、7度目の『太平洋ひとりぼっち』を成功させている。

冒険好きの本田は、もちろんエールを送っているが・・・
気に入らなかったのが当時の役所の対応だという。

成功するまでは無名だった堀江が、アメリカを目指してヨットを出した時
関係する役所では「不法出国。断固、取り締まる」と意気まいていたというのに・・・

いざ成功して堀江がアメリカで大歓迎を受けたというニュースが流れるやいなや・・・
堀江を密航者扱いしていた役所は鳴りをひそめ・・・
議員の間では堀江の帰国費用のカンパまではじまったという。

チャレンジを評価する日本人の主体性のなさに、本田はホトホト呆れた・・・と書いている。

本田宗一郎といえば、もともと役所嫌いで有名な人。
税金の催促に来た役人に水をブッかけて新聞沙汰になったコトもあれば・・・
運輸省に直談判して自動車製造に着手したり・・・
当時、救急車両にしか許可されていなかった赤い車をスポーツカーとして登場させたりもした。

本田の判断と役所の判断・・・どちらが正しかったかは言うまでもない。

確かに役人の仕事は、すべての国民に公平な立場で行わなければならない。
しかし、それが新しい時代の足をひっぱってしまったのでは・・・日本の未来はない。

だいたい、ひと口で役所の判断と言っても・・・誰の判断なのかは、ものすごく不明瞭だ。
たいていは「規則がそうなっている」という程度のコトで・・・
なぜ「規則がそうなっている」のか説明できる者もいない。

そうして追求していくと最後は「前例がない」と言う。
新しいコトに挑戦するのに、前例などあるはずはない。

私も本田宗一郎に負けないくらい・・・役所は嫌い。
自分で商売をして、矢面に立つようになると、ますます嫌になってくるコトが多い。

もちろん自分勝手に何でもしていい・・・とは思わないけれど
周囲ばかり気にしていては何ひとつ自分の信じるコトは実行できない。

週末に引き続き・・・マーク・トゥエインの言葉。

「もし、みんなが自分自身に満足していたら・・・英雄など存在しないだろう」


参考資料:「俺の考え」本田宗一郎=著 新潮社=刊 ほか