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Episode No.628(20000831):そこはゴール? それともスタート?

先日、知人にこんな話を聞いた。

IT革命が騒がれているけれど・・・まだまだ商売になるところまでは、ぜんぜんいってない。
例えば、電気が発明された時も同じで・・・。
技術としてはあったけど、普及するにはかなりの時間を要している。
電気がようやく普通の商売として成り立つようになったのは、自動車に応用されてからの話だとか。

知人の情報ソースは、アメリカの学者の講演らしい。
・・・確かに、そうかも知れない。

1880年、エジソンは白熱燈を発明。
このシーンは、よく電気、いや伝記の挿し絵なんかで見るよね。
で、ほどなく世界中に伝記、いや電気が灯されている絵につながっていたりするんだけど・・・。

実際は、もちろんすぐに実用化できたワケではない。
実用化はおろか、この白熱燈の特許が取得できるまでには・・・
エジソン研究所にいる100名以上のスタッフが改良に改良を重ね、なんと8年もの歳月を要した。
今から113年前・・・1887年8月31日は、エジソン研究所が白熱燈の特許権を取得した日。

つまり、初めて実験に成功したというのは・・・スタートするコトができたに過ぎなかったワケだ。

ただし、厳密にいえば電灯を最初に発明したのはエジソンではない。
イギリスの名もない発明家が電灯の実験をしていた記録が残っている。
それは、エジソンが白熱燈の実験に成功する50年以上も前の話だ。

さらに、エジソンが特許を取得した、ほぼ同時期に・・・
イギリスの発明家ジョセフ・スワンという人物もフィラメント方式の電灯の特許を取得している。

では、なぜエジソンの方が歴史に名を残したのかといえば・・・
エジソンは単に電灯でけでなく、実用化のための配電設備まで考案していたからだ。

一生懸命、何かに向かって頑張っていると・・・
時々、スタートとゴールを間違えてしまうコトがある。

電話の発明におけるグラハム・ベルと・・・
「ハロー」という言葉まで作ったエジソンの違いもここにあるのでは・・・?!

ジョセフ・スワンとエジソンは当初、特許権について争う姿勢だったが・・・
最終的には協力して電力会社を作るコトになった。

こうした劇的な業界内の話をよそに世紀の大発明、電球は・・・
エジソンの会社から供給を受けていた顧客数・・・当初、203世帯。
営業7年目になっても710世帯になった程度。

約10年後の20世紀に入って、ようやく1万世帯が電灯を持つようになり・・・
さらに10年後、その数は300万世帯になって、あとはようやくウナギ登り。

当時とは比較にならないほどマスコミが発達しているとはいえ・・・
とりあえず衣食住が足りている現代において、
本当のIT革命が実現されるのは、いつになるコトやら・・・


参考資料:「今日は何の日」PHP研究所=刊
     「はじまりコレクションII」チャールズ・パナティ=著 バベル・インターナショナル=訳
      フォーユー=刊