Presented by digitake.com

 

Episode No.571(20000626):2000年が見たかった人

「してやったり」・・・と笑ったのは、今は亡き
石ノ森章太郎

1997年に出された『キカイダー讃歌』という本の中で・・・。
キカイダー役の伴大介、キカイダー01役の池田駿介としている対談の一幕だ。

漫画の神様をも嫉妬させた石ノ森章太郎は、師匠に負けず作品数も多い。
中でも『
仮面ライダー』をはじめとするヒーローものは、今なお子供たちの心を踊らせる。

対談の中で『人造人間キカイダー』のアメリカでの人気ぶりが語られていた。
アニメだけでなく、日本の子供向け番組は、かなり輸出されているらしいが・・・。
アメリカではライダーより、キカイダーの方が人気が高かったようだ。

一時はハリウッドからの問い合わせあったようだが・・・。
しばらくすると『ターミネーター』やら『ロボコップ』など、ロボットものの映画がトドッと公開された。

そういえば石ノ森作品には『ロボット刑事』なんてのもあったし・・・。
悔しがる、伴と池田を見て石ノ森は、ひと言・・・「してやったりと思ったよ」。

私も、もちろんライダーに心をときめかせた世代だが・・・。
キカイダーの登場には、カッコイイ! というより、むしろショックを覚えた。

まず放映されていた時間が・・・確か土曜日の8時くらいからだったと思う。
いわゆる子供番組の時間帯ではなかったと記憶する。

そして何よりも、あの
デザイン・・・左右対称ではないという斬新さ!

「ライダーの陰に隠れがちだけど、ホントは思い入れとしてはキカイダーの方が強いんだ。
 ライダーの後に意気込んで取り組んだ作品でもあるし・・・」

キャラクターの出来は、作者自らが"最高傑作"だと太鼓判を押す。

「ピノキオをベースに考えたんだよね。
 タイトルについては、いろいろと考えたんだけど・・・冗談で出した案が良く思えてきて。
 キャラクターの本質を端的に表せる名前だから良かったよ。
 少しやぼったさはあるんだけれど、それがかえって温もりに感じられるしね。
 子供のヒーローには暖かみというのは必要だから」

そういえば、キカイダーはギターを持っていて・・・あのメロディが弾きたくてたまらなかった。
ジローがギターを持っているのは日活アクションの小林旭の影響らしい。

対談の最後・・・。
当時、生まれ故郷に建設が計画中だった『石ノ森記念館』の話になる。

「いずれは原稿もそっちで描こうと思っているんだ。
 2000年のオープン目指して今準備中なんだ」

ペンネームともなった宮城県登米郡中田町石森字町には、計画通り2000年の今年7月。
『石ノ森章太郎ふるさと記念館』がオープンする。

しかし石ノ森章太郎は『キカイダー讃歌』の対談の翌年・・・1998年1月28日に永眠。
故郷で描いた石ノ森ワールド・・・見たかったなぁ。


参考資料:「キカイダー讃歌」池田駿介・伴大介=共著 東西企画=発行 星雲社=発売

[ Back to TopBacknumberご愛読者アンケートBBS 御意見番BBS 保存版 ]