Episode No.473(000303):最古の記憶
縁を大切にしよう・・・と思った瞬間、これまで不義理をしてきた大勢の人たちの顔が目に浮かぶ。
ところで、あなたの記憶の中で一番古いモノは、いつ頃のモノ?
私の場合は、おそらく2歳か3歳の時。
風邪をひいて昼寝をしていて、起きあがると同時に気持ち悪くなって吐いた。
それを見た母親が大慌てで洗面器かタオルを取りに走っている様子を覚えている。
たぶん、それが意識して思い起こすことができる一番古い記憶。
次は4歳くらいで、家のまわりを三輪車を立ちこぎしていると・・・。
母親が玄関先の道路で近所のおばさんと井戸端会議をしている。
私は何を思ったのか、その足下まで走って行くなり母親を見上げて、こう尋ねた。
「ねぇ、人間っていつか死ぬんだよね?」
井戸端会議に夢中になっていた母親は「そうよ」と軽く答えた。
当たり前のことなのに「やっぱり死ぬんだ」と思ったとたん・・・すごくショックだった。
オトナになっても残っている幼児期の古い記憶を心理学では、ファースト・メモリーと呼ぶらしい。
ある調査によると、このファースト・メモリーの時期は平均で満3歳6ヶ月。
と、いうコトは私の場合もきわめて平均的・・・なワケ。
中には、このファースト・メモリーがメチャクチャ早くて・・・。
乳飲み子だった頃に母親に抱かれてハレー彗星を見た記憶があるという淀川長治や・・・。
産湯でつかったオケの縁の模様を覚えていたという三島由紀夫もいるが・・・真偽のほどはわからない。
ハッキリとした記憶はなくても無意識のうちに覚えている感覚・・・というのもある。
ウチの赤ん坊を見ていても思うが、ミルクを飲むというのは、なかなか力のいる作業。
吸った分しか出てこない・・・そのもどかしさは、誰の記憶にもあるはずだ。
その幼児体験を利用して、懐かしい感覚を味わってもらおうと企画された商品がある。
一度に飲んでしまえば「甘かった」とひと言で終わってしまうところを・・・。
わざと飲みにくく作ったその商品は、幼児体験を思い出させると同時に、時間をかけてうまさを実感してもらう効果もある。
母乳をイメージして作られた、その商品の名は・・・マックシェイクだ。
中学校の頃、まだ喫茶店に入る勇気はなくて・・・。
いっしょにマクドナルドに行った女の子は、今頃どうしているだろう?
今日あたりは、自分の娘を囲んでひな祭でもするのかな?
・・・私も、そうだけど、ね。