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Episode No.436(000119):バランス感覚

「大きな難題は、いくつもの部分に小分けして、小さな問題を1つ1つ解いていくこと。
ものごとは順序立てて考える。まずは、簡単な問題からとりかかり、それを解き終えてから次のムズカシイ問題に移ること。
そして最後に、仕事の全体がわかるような見取図をつくること。これによって、抜け落ちいてる作業があるかどうかを確かめることができる」

以上・・・コレって誰の言葉だと思う?
本田宗一郎が言ったコトだ・・・って言われると、そうも思えてしまいそうだけれど。
実は、この言葉を残したのはフランス人・・・しかも彼が活躍したのは今から約400年も前のコトだ。

大学で学問の道をきわめようと必死で勉強するが、当時の大学で扱っている学問内容の薄さに失望し、軍隊に進む。

彼の実践的な学問思想の基本は、この軍隊生活の中で実学として学んだモノである・・・とも言われている。

以前、体力測定などに使われる円形の周囲に測定点を書き込んでバランスを見るレーダーグラフは、
ナイチンゲールが考案したもの・・・という話をしたコトがあるけれど。

その、さらに元となった折れ線グラフ・・・
というより、物ゴトを数値化して視覚的にとらえるという考え方自体を作り出したのが、彼の大きな功績のひとつ。

仮の名前は、ルネ・デカルト。
「我思う、ゆえに我あり」・・・これが最も有名な言葉。
哲学者、数学者として後の世に大きな影響をもたらしたのはご承知の通りだ。

実は、このデカルトも当時はまだ信じられていなかった天動説を信じ、太陽を中心とした独自の宇宙論を1冊の本にまとめていた。

しかし、同時代に活躍していた
ガリレオが異端の罪を着せられたコトを耳にすると、この本の出版を取りやめた。
結局、後にデカルトの宇宙論は世に知られるコトになるのだけれど・・・。
大本の考え方こそ間違ってはいなかったものの、宇宙に関して詳しく研究していなかったデカルトの理論は間違いだらけで、かえって彼の評価を下げるコトになってしまった。

こうして、1600年代の終わり頃から学者は細かな専門分野に分かれていくようになり、デカルトのような哲学者は自然の研究から手を引き、もっぱら政治や倫理、宗教・・・といった分野を扱うようになっていった。

ところが現代・・・。
人が神の領域にまで足を踏み入れるほど科学が発達してくると、逆に科学者に倫理観が問われる時代になってきた。

餅は餅屋・・・と言うけれど。
やっぱり餅屋だけで世の中、成り立っているワケじゃないしなぁ。


参考資料:「世界のたね」アイリック・ニュート=著 猪苗代英徳=訳 NHK出版=刊
     「21世紀こども人物館」小学館=刊

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