Episode No.373(991105):柔軟頭が生活を楽しくする 私の愛読書に『こちら葛飾区亀有公園前派出所』がある・・・という話は前にもした。 毎週日曜日にはテレビアニメも放映しているので、知ってる人も多いと思うけど・・・。 自慢ではないが、私は『こち亀』のアニメから流れるセリフを10秒も聞けば、その話の中味がどの原作からきているのかを当てるコトができる。 つまり、それくらい原作を繰り返し読み込んでいる。 まぁ、寝る前に読むクセがついたら自然にそうなっただけのコトだけど・・・。 アニメでも主人公、両津勘吉の声を演じているラサール石井が台本、演出、主演をこなした『こち亀/舞台版』にも、もちろん足を運んだ。 大筋としては原作のいくつかをミックスした内容だったが、原作にない印象的なセリフを今も鮮明に覚えている。 舞台版用に作られた役、街に背を向ける人間嫌いの少女に対して両さんは叫んだ。 「いったい街がオマエに何をした? 街はいつでもオマエの足の下だ!!」 社会とか、まわりの環境とか・・・。 自分がうまくいかないコトがあると、つい自分の身の回りにあるモノを恨みたくなる気持ちは誰にでもあるだろう。 しかし実際に今の自分がうまくいかない最大の原因は、過去の自分にとらわれている場合が少なくない。 「オトナより子供の方が正しい場合がある・・・子供には過去がないからね。いつでもその時の相場でモノを言う」 と言ったのは、本田宗一郎。 終戦直前の自分の月給が150円だった時代の印象が強かった本田は、戦後になって自分の子供に小遣いをせがまれて10円やったら、それでは足りないと言われた。 100円ほしいと言われて、一瞬目の玉が飛び出すほど驚いたが・・・確かに、その時代にあっては100円も大金ではなくなっていた。 強引に責任を押しつけようとしている社会とか、まわりの環境とか・・・そんなモノは、いつでも変化しているモノ・・・。 こういうモノだと決めつけてかかる自分の気持ちに、実は首を絞められているだけのコトなんじむゃないかな?! むしろ、絶対こうだ・・・と決めてかかれれば、こんなに楽なコトはない。 だけど、それじゃあ味気ない。 工業製品のようにすべてが規格化できないから・・・おもしろいんだよ、世の中は。
参考資料:「こちら葛飾区亀有公演前派出所」秋本 治=著 集英社=刊 「わが友 本田宗一郎」井深 大=著 ごま書房=刊
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